市場開放政策(読み)しじょうかいほうせいさく(英語表記)opening market policy

知恵蔵 「市場開放政策」の解説

市場開放政策

経済政策において、雇用の確保等の立場から、特定の産業に優遇措置をとったり、特定の品目輸入規制を設けたりすることがある。これらは産業保護政策と呼ばれる。これに対し、保護や規制を撤廃し自由競争を尊重する立場が市場開放政策である。1980年代後半頃から増大した日本の巨額の貿易黒字は、産業保護政策をとっていた日本の輸入構造に起因する部分も大きいとの認識から、日本に対する諸外国の市場開放圧力は強まった。その代表ともいえる農産物は、88年に牛肉オレンジ、93年にコメなどが全面的に輸入自由化された半面、中国産農産物に対するセーフガード(緊急輸入制限)暫定発動の動きもあった(2001年)。他方、市場開放の要求はサービス分野にも拡大し、金融市場も「日本版金融ビッグバン」により、ほぼ全面開放された。

(本庄真 大和総研監査役 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「市場開放政策」の意味・わかりやすい解説

市場開放政策
しじょうかいほうせいさく
market-opening

自由競争を尊重する立場から,一国が関税や輸入割り当てなどの貿易障壁を軽減,撤廃して,自らの国内市場を諸外国からの輸出に対して開放すべく採る政策のこと。近年になって,諸外国から日本の保護主義的な性格に対して非難が向けられるとともに,強い市場開放要求が提出されている。加えて,金融システムや各種の法制度に対しても国際システムになじまないとの指摘もなされている。

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