改訂新版 世界大百科事典 「市川段四郎」の意味・わかりやすい解説
市川段四郎 (いちかわだんしろう)
歌舞伎俳優。2世以降の屋号沢瀉(おもだか)屋。(1)初世(1651-1717・慶安4-享保2) 初世市川団十郎の高弟。元禄期の名優。のち僧侶となる。(2)2世(1855-1922・安政2-大正11) 立師坂東三太郎の子,9世団十郎の高弟。坂東羽太作,山崎猿之助,松尾猿之助を経て,1890年10月市川猿之助を名のる。1910年に段四郎と改名。舞踊,丸本歌舞伎を得意とし,渋い芸風。当り役は《俊寛》など。また,ケレンでも独自の境地を示した。(3)3世(1908-63・明治41-昭和38) 2世猿之助の長男。30年に段四郎を襲名。華々しい父の陰で地味な存在だった。(4)4世(1946(昭和21)- )3世の次男。3世猿之助の弟。69年段四郎を襲名。
執筆者:渡辺 保
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報