市民スポーツ(読み)しみんスポーツ

改訂新版 世界大百科事典 「市民スポーツ」の意味・わかりやすい解説

市民スポーツ (しみんスポーツ)

市民意識に目覚めた人々による地域スポーツのあり方をさす。市民意識は,存在としても,感情としても,共同体から独立した個人,すなわち〈市民〉の発生によって初めて成立する。市民スポーツは,このような市民意識に目覚めた主体的個々人によって,とくにスポーツを生活との関連でとらえて,市民としての諸権利(自由,平等,生存権)を確立する市民運動によって具体化されると考えられる。日本のこれまでのスポーツは,国の主導による〈上から〉のスポーツの傾向が強かった。しかし,昭和40年代から50年代にかけて,経済優先の社会から生活優先の社会への見直しと関連して,新しいコミュニティ・スポーツの動きがみられるようになった。一方,市民主導といっても,これには,国や地方公共団体などのサービスが必要である。とくに,市民のスポーツ意識が低い段階では,意識啓蒙のためのスポーツ行事やスポーツ教室の開設,自主的スポーツクラブ助成育成とそのための社会的条件の整備充実が必要である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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