帳簿組織(読み)ちょうぼそしき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「帳簿組織」の意味・わかりやすい解説

帳簿組織
ちょうぼそしき

どのような帳簿を設け,各帳簿の間にどんな記帳関連を保たせるかをそれぞれの企業の規模や業種に合せて設計する経理のシステムをいう。世界最初の複式簿記制度といわれるイタリア式簿記法では日記帳→仕訳帳→元帳の順に記帳が行われた。日記帳は貨幣制度統一に伴って使用されなくなったが,商業が発展してくると記帳における分業が必要となり,次第に仕訳帳の分割が行われるようになった。その結果現金出納帳,仕入帳,売上帳 (現金仕訳帳,仕入仕訳帳,売上仕訳帳ともいわれる) などの補助簿特殊仕訳帳として使用されるようになり,合計転記という手続が生じるようになった。このような帳簿の分割や記帳の分業が行われるようになった理由は,イタリア式帳簿システムでは近年における巨大化,複雑化した企業組織の活動を経理的に処理するには非能率的で,その能力もきわめて貧弱であることによる。したがって記帳事務の合理化への努力が企業組織の拡大に伴い,それに適合した帳簿組織の発展をもたらしたといえる。帳簿組織は企業規模,業種の相違などによって各種の形態があるが,現在最も一般的な帳簿組織 (体系) は次のようなものである (複数の特殊仕訳帳を採用する) 。 (1) 主要簿 (a) 一般仕訳帳。 (b) 総勘定元帳。 (2) 補助簿 (a) 補助元帳──仕入先元帳,得意先元帳,商品有り高帳。 (b) 補助記入帳 (特殊仕訳帳) ──現金出納帳,仕入帳,売上帳,受取手形記入帳,支払手形記入帳。なお伝票制度は帳簿組織の発展形態の一つといえ,そこでは現金出納帳,仕入帳,売上帳,一般仕訳帳をそれぞれ現金伝票,仕入伝票,売上伝票,仕訳伝票に置き換えたものとみられ,さらに機械簿記はこの作業をパンチカードと機械によって処理するものである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の帳簿組織の言及

【帳簿】より

…会計記録の目的は,内部管理会計上は財産・損益管理の資料,外部報告会計上は経営成績や財政状態を報告するための財務諸表作成の基礎資料を提供することにある。会計記録の目的を有効に達成するために帳簿を有機的に関連させたものを帳簿組織という。帳簿組織上,帳簿は主要簿と補助簿とに分類される。…

【簿記】より

…しかし会計測定が,二重分類を基本とすることには変りはない。
[帳簿組織]
 ところで,具体的な帳簿記録を実践するうえでは一定の帳簿組織accounting systemが形成されていることが前提となる(〈帳簿〉の項参照)。 帳簿組織の原初形態たるイタリア式(ベネチア式)簿記法では,日々発生する取引内容を歴順的,備忘的に営業日誌たる日記帳に記録し,おのおのの個別取引を適当な勘定科目で貸借二重分類しながら,それらの科目の貸借におのおの同額の金額を付与する仕訳を仕訳帳で行い,これらを元帳のおのおのの勘定のページに転記していた。…

※「帳簿組織」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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