常磁性共鳴(読み)ジョウジセイキョウメイ(英語表記)paramagnetic resonance

デジタル大辞泉 「常磁性共鳴」の意味・読み・例文・類語

じょうじせい‐きょうめい〔ジヤウジセイ‐〕【常磁性共鳴】

常磁性体が示す電子スピン共鳴。この現象によるマイクロ波吸収様子から結晶内の電子イオン状態について調べられるほか固体メーザーでも利用される。電子常磁性共鳴EPR(electron paramagnetic resonance)。

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化学辞典 第2版 「常磁性共鳴」の解説

常磁性共鳴
ジョウジセイキョウメイ
paramagnetic resonance

常磁性体についての電子スピン共鳴.常磁性体の多くは遷移元素を含んでおり,3d電子や4f電子のスピンおよび軌道角運動量による磁気モーメントをもっている.軌道角運動の効果が入ってくるので,単なる電子スピン共鳴と区別するときに常磁性共鳴あるいは電子常磁性共鳴という.磁気能率外部から与えられる静磁場によって生じるエネルギー準位は,結晶内の電場の影響を受けると分裂したり,シフトしたりする.これを微細構造という.また,原子核のもっている核スピン四極子モーメントによって影響を受けるとき,超微細構造という.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「常磁性共鳴」の意味・わかりやすい解説

常磁性共鳴
じょうじせいきょうめい
paramagnetic resonance

常磁性体での磁気共鳴総称であるが,普通電子スピン共鳴のうちの電子常磁性共鳴をさしている。常磁性遷移金属,希土類金属イオンを含む固体では,共鳴スペクトルにより固体内の常磁性イオン位置における結晶電場の大きさ,および対称性についての知識が得られ,スピンハミルトニアンを決定することができる。したがってイオンの低いエネルギー準位を決定することが可能となる。また電子スピンと核スピンの超微細相互作用により,共鳴スペクトルに超微細構造が現れ,有機物質中の遊離基の構造や電子状態,半導体不純物レベルの電子の共有結合の大きさについて知ることができる。共鳴吸収線の形や幅は,磁気緩和現象の緩和時間とも関係しており,物質内の電子状態についての知識が得られる。

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