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評論家。京都府出身。早稲田(わせだ)大学英文科卒業。1922年(大正11)雑誌『種蒔(ま)く人』に参加し、マルクス主義にたつ気鋭の文芸評論家、文学理論家として活躍。翌23年、評論集『無産階級と文学』を刊行する。唯物史観による文学理論の支柱として高く評価された。しかし運動が統廃合され、政治的に急進化するにつれて離脱。のち『政治的価値と芸術的価値』(1929)を著してプロレタリア文学運動に懐疑的な批判を投げかけて大きな論議を巻き起こした。それを含む後期の評論は『文学理論の諸問題』(1929)にまとめられている。31年(昭和6)パリで客死。柔軟にして科学的な文学研究家であるとともに、推理作家、翻訳家としても知られる。
[紅野謙介]
『『平林初之輔文芸評論全集』全三巻(1975・文泉堂)』
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…1921年創刊の《種蒔く人》誌に結集した小牧近江らは,反軍国主義とその4年前に実現したロシア革命の擁護ということを掲げて,広く進歩的な思想家,作家たちに結集を訴え,明治・大正以来の社会主義文学(木下尚江,石川啄木,宮島資夫(すけお),平沢計七ら)とはちがう新しい運動として出発した。第1次大戦以来のデモクラシーの潮流と,労働者階級の増大,その自覚の成長,小作争議の頻発に見られる農民の新動向などに支えられて,まず進歩派の知識人の運動として始まったのであったが,《種蒔く人》の運動がしだいに進むに伴って,労働者階級と文学の関係,解放運動と文学の役割などについて理論的な手さぐりが進行し,平林初之輔,青野季吉を中心に革命文学の主張が行われるにいたった。しかし〈革命〉ということばは当時の検閲下では禁句であり,伏字にせざるをえなかったので,革命文学という代りにプロレタリア(労働者階級,無産者)の文学ということばをもち出し,22年ころから〈プロレタリア文学〉ということばが掲げられるにいたった。…
※「平林初之輔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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