平沢清人(読み)ひらさわきよと

日本大百科全書(ニッポニカ) 「平沢清人」の意味・わかりやすい解説

平沢清人
ひらさわきよと
(1904―1973)

近代の民間史家。長野県下伊那(しもいな)郡下久堅(しもひさかた)村(飯田(いいだ)市)で生まれる。東京の青山師範学校を卒業、東京の小学校の教師となる。1925年(大正14)帰郷するが、29年(昭和4)退職、翌年共産党に入党、検挙される。歴史への関心を深め、教職に復帰、50年(昭和25)レッド・パージ。歴史編集に従事、その後歩行不能の重病となるが、闘病生活を続けながら文筆生活に徹する。主として中世末から近世・近代の文書により、伊那地方の民衆史・産業史を解明百姓一揆(いっき)史についてはとくに大きな成果をあげた。それらの史実をもとに児童文学の創作も行い、山村清の名で詩作も行った。著書に『近世南信濃(しなの)農村研究』『下伊那蚕糸業発達史』『近世入会(いりあい)慣行の成立』『百姓一揆の展開』などがある。

深谷克己

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「平沢清人」の解説

平沢清人 ひらさわ-きよと

1904-1973 昭和時代後期の郷土史研究家。
明治37年5月15日生まれ。昭和25年レッド-パージで小学校の教職を追われる。30年カリエスで歩行不能となるが,故郷長野県伊那(いな)地方の民衆史・産業史,百姓一揆(いっき)の研究に専念した。昭和48年3月29日死去。68歳。青山師範卒。著作に「近世村落構造の研究」「百姓一揆の展開」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android