年料舂米(読み)ねんりょうしょうまい

山川 日本史小辞典 改訂新版 「年料舂米」の解説

年料舂米
ねんりょうしょうまい

古代において,畿内をのぞく近国や沿海諸国から毎年一定量の舂米京進させた制度。田令には租の一部を舂(つ)いて(脱穀籾摺(もみすり)・精白)送る規定があるが,天平期の正税帳や平城宮跡・長岡京跡出土の舂米貢進木簡の実例では,正税穎稲(えいとう)をあてている。京進された舂米は,主として大炊(おおい)寮に収められ,諸司常食に供された。延喜民部式では,伊勢国以下土佐国に及ぶ22カ国が負担国とされ,遠近に応じて2月から8月までの納入期限を定めている。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の年料舂米の言及

【大炊寮】より

…律令制では親王,議政官,職事官・番上官の官人,雑色人,さらに匠・丁に至るまで,俸禄とは別に,調理品または素材の形で主食,副食,調味料の給食が行われた。諸国が進上する年料舂米を,主計寮の計納を経て大炊寮が収納し,8世紀にはこれを親王,議政官,官人,雑色人に月料(げつりよう)として支給したが(匠・丁には民部省が庸米を大粮(たいろう)として支給),9世紀初頭にそれまで激務の職事・番上官の付加給であった要劇(ようげき)料(銭)・番上(ばんじよう)粮が月料と並んで本給となり,3者の支給対象が分化し,それぞれを大炊寮が年料舂米で支給することになったらしい。しかし,有品親王,公卿などの月料は漸次停止され,881年(元慶5)の元慶官田の設置により,太政官,出納諸司(中務省,監物,民部省,宮内省,大炊寮),給月料之司(大学寮等)以外の官司は要劇料・番上粮として官田を支給され,大炊寮の職務は縮減された。…

【舂米】より

…大和朝廷のもとで屯倉(みやけ)が置かれると舂米部(つきしねべ)が定められることがあった。律令国家の成立とともに官司での食料が多量に必要となると,〈年料舂米〉として定期的に政府に納入させた。その財源はたてまえ上は田租から支出されることになっていたが,実際は正税稲(しようぜいとう)が用いられた。…

※「年料舂米」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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