広報(読み)コウホウ

デジタル大辞泉 「広報」の意味・読み・例文・類語

こう‐ほう〔クワウ‐|コウ‐〕【広報/×弘報】

官公庁・企業・各種団体などが、施策や業務内容などを広く一般の人に知らせること。また、その知らせ。「―活動」
[類語]広告公告布告告示公示宣告発布公布告知宣布触れ報道報知情報知らせ通信一報特報速報急報ジャーナリズムマスコミマスコミュニケーションニュース

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精選版 日本国語大辞典 「広報」の意味・読み・例文・類語

こう‐ほう クヮウ‥【広報・弘コウ報】

〘名〙 官公庁、企業、団体などが、施策、方針や業務、活動などについて、各種の媒体を通じて広く一般に知らせること。また、その知らせ。
[補注]「広報」は「弘報」の書き換え。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「広報」の意味・わかりやすい解説

広報
こうほう

政府行政機関、企業、労働組合、学校、PTAなど諸団体が、国民、消費者、住民など社会のいろいろな人々に向けて、自らの考え方、計画、実際の諸活動を知らせること。

 広報=PR(public relations)としても用いられるが、これは、第二次世界大戦直後から数年にわたり、連合国最高司令部(GHQ)がわが国民主化政策の一環として行政機関にPRオフィスの設置を指示した際、行政機関の多くが、PRの理念・概念の理解や広聴活動に注目する以上に、情報伝達としてPRを受け入れたこと、また、GHQが広聴活動の重要性を指摘しながらも、とくにパブリック・インフォメーションの意義を強調していたことにも原因がある。広報は、当初「弘報」と書かれたが、当用漢字制限上「公報」へ、さらに公報に上意下達的な語感があったことから、1950年代にはしだいに「広報」とされるようになった。

[小倉重男]

情報の真実性

広報活動では、提供する情報の真実性がつねに問題とされる。すでに1954年(昭和29)小山栄三は、事実の歪曲(わいきょく)、虚偽、誘導は「その名に値しない」と論じた。67年井出嘉憲(よしのり)は、このコミュニケーションについて、(1)真実性、(2)公共利益合致、(3)相互過程(ツー・ウェイ・コミュニケーション)、(4)人間接触、の4原則を示した。しかし、広報活動では、真実の提示の重要性は認められながらも、自己利益になる情報は流しても、都合の悪い情報は隠すという傾向が強く、また、情報伝達により世論操作を行おうとする動きも存在し、広報活動が疑念をもたれる例も多い。

 この点から、アメリカで1967年から施行された情報自由法による政府情報の公開制度は、社会に大きな影響を及ぼし、政府機関の広報活動にも重要な意味を添えた。市民の請求があれば原則としてどのような政府情報も公開しなければならなくなったことは、政府に不利な情報も制度的に隠しえなくなったことである。この制度と広報活動の結合により、情報の提供活動の実際は、真実性の理想に向かって大きく踏み出したことになる。民主主義が真実の情報のもとにつくりあげられる世論を基盤とすべきことは、政府とともに今日、社会的影響力の絶大な産業界の情報公開の制度化にもつながる。この課題は、先進民主主義国共通の課題であり、わが国の政府、自治体、産業界もまた例外ではない。

[小倉重男]

活動手段

広報活動の手段として次のものがあげられる。パブリシティー(報道機関への情報提供)、マスコミ広告、PR紙・誌、PR映画、VTRスライドポスターパンフレットリーフレット、カレンダー、掲示板、報告書(営業、年次など)、株主総会、オープン・ハウス(工場見学など)、講演会、討論会(シンポジウム)、懇談会、展示会、博覧会、催事、文化・慈善・教育事業、ロビイングなど。広報活動は組織の内外に向けて行われる。このような広報活動は、情報、意見の取り入れ活動である世論調査、内外のデータ(統計、報告、実情)収集、提案制度、意見・苦情受付(投書、電話、来訪)などの広聴手段とともに、PRにおけるコミュニケーションの二大手段である。

 直接人間同士の接触が保てる方法を広報・広聴手段から取り出し、「参加・交流」手段とする分類もある。その典型は討論会(シンポジウム)である。広報、広聴の諸手段は、人間の直接的な接触や媒体、制作物を結合することによって、コミュニケーション活動の相乗効果を高めることを可能とする。

[小倉重男]

『小山栄三著『広報学』(1954・有斐閣)』『井出嘉憲著『行政広報論』(1967・勁草書房)』『小倉重男著『PRを考える』3版(1983・電通)』『村上好重著『企業広報学入門』(1982・紀尾井書房)』『松岡紀雄著『海外広報の時代』(1982・経済広報センター)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「広報」の意味・わかりやすい解説

広報
こうほう

行政機関が国民との間に,その目的に適合するような信頼・協力関係をつくり出すために行う諸活動。第2次世界大戦後アメリカにより日本に導入された Public Relations (PR)の観念と結びついた。行政が民主的に運営されるためには,行政過程への国民の意思の反映 (→広聴活動 ) が必要であり,同時に国民が行政に対して正しい理解をもつには行政情報の公開 (広報) が不可欠であるという理念に基づく。両者は情報の流出入を通して,車の両輪のごとく民主化を推進するものと理解されている。

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改訂新版 世界大百科事典 「広報」の意味・わかりやすい解説

広報 (こうほう)

PR

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ブランド用語集 「広報」の解説

広報

広報とはPRのことをいう。PRの項参照。

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世界大百科事典(旧版)内の広報の言及

【行政広報】より

…国や自治体の行政機関がその施策の展開にあたって,国民の苦情,要望,意見等を〈聴く〉(インテリジェンスの吸上げ)とともに,施策の内容と実施方法を〈語る〉ことによって国民の理解と支持を得るために行うコミュニケーション活動。行政広報という言葉は,ひろくは,民意の吸収を表す〈広聴〉と,民意への語りかけ(情報提供)を表す〈広報〉の両活動を含意している。たとえば〈広報と広聴は車の両輪のごとし〉というように。…

【PR】より

…広告,宣伝と同義語のようにも使われたり,広報,広聴ともいわれてもいるが,元来はパブリック・リレーションズpublic relationsの略語である。歴史的,実際的に多様な意味をもつが,いずれも世論との関係が基底にあり,その包括概念は〈個人や集団が集団内あるいは他の集団との間で実態やイメージ,問題点などを伝え合い,相互の関係を円滑にしながら世論形成に役だたせる活動である〉と規定できよう。…

※「広報」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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