にわ‐せん には‥【庭銭】
〘名〙
① 紋日
(もんび)に遊ぶことを約束した客が、あらかじめ
遊女その他の者に
祝儀として出す金。また、これらの
節供や水揚げその他の祝日に、遊女が
揚屋・置屋の主人や
奉公人たちなどに贈る祝儀の金銭。はな。
※評判記・寝物語(1656)一「そさまの買分に致(いたし)、身あがりをいたさん。庭せん、かうりょくくだされ」
② 嫁入、あるいは
舅入(しゅうといり)のとき、
先方の奉公人に与える祝儀の銭。
※女重宝記(元祿五年)(1692)二「道具をつかはす次第はまづ一ばんに庭銭
(ニワセン)、但し
青ざしにつなぎ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「庭銭」の意味・読み・例文・類語
にわ‐せん〔には‐〕【庭銭】
1 遊里で紋日に遊ぶことを約束した客が、遊女や揚屋などの奉公人に与える祝儀の金。
「太夫様より宿への時服、―まきちらす」〈浮・一代男・八〉
2 江戸時代、街道の宿駅の問屋場に荷物を一時預けたときの保管料。
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世界大百科事典(旧版)内の庭銭の言及
【庭】より
…狩庭(かりば∥かりにわ),網庭,稲庭,草庭,塩庭など,狩猟,漁労,稲作,草刈り,製塩などを行う場所,軍庭(いくさば),市庭(いちば),売庭(うりば),乞庭(こつば),舞庭(まいば),さらに〈祭りの庭〉や〈講の庭〉のように戦闘,交易,芸能,仏神事の行われる場所は,みな庭であった。自然のある部分を庭にする場合,後年のことであるが,関料(せきりよう)の一種〈庭銭(にわせん)〉が初穂であったことからみて,人はあるいは初穂をささげ,また狩りや市の祭文(さいもん)にみられるように,神事を行ったのである。 集会や裁判の行われる共同体の広場も庭であったが,日本の場合,それは早くから首長の宅と結びつき,その管理下におかれていた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」