康居(読み)こうきょ

精選版 日本国語大辞典 「康居」の意味・読み・例文・類語

こうきょ カウキョ【康居】

中国、漢・魏時代の西域の国の名。中央アジアのキルギス平原を中心にした、トルコ系遊牧民の国。〔史記‐大宛伝〕

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デジタル大辞泉 「康居」の意味・読み・例文・類語

こうきょ〔カウキヨ〕【康居】

中国の代の史書に見えるトルコ系遊牧民。中央アジアのシル川下流域からキルギス平原を本拠地とした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「康居」の意味・わかりやすい解説

康居
こうきょ

中央アジアの一民族で、漢、魏(ぎ)、晋(しん)代の中国史書にみられる。シルダリヤ中流域を本拠地とし、最盛期(前漢代)にはソグド地方をも従属下に置いた。シルク・ロードのいわゆる草原ルートの中央に位置し、東は烏孫(うそん)を通じて匈奴(きょうど)、漢に至り、西はアラル海方面の奄蔡(えんさい)を通じて黒海北岸に達し、南は大月氏(だいげっし)と接していた。史書によれば、康居は夏冬の2期に住地を変える遊牧民であったが、同時に城郭をももっていた。近年、カラ・タウ山脈南麓(なんろく)からタシケントにかけてのシルダリヤ中流域で、多数の集落址(し)、都城址墓地が発掘されているが、そのうち紀元前3世紀~後4世紀に属するものが、しばしば康居と結び付けられて考えられている。

[林 俊雄

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百科事典マイペディア 「康居」の意味・わかりやすい解説

康居【こうきょ】

中国の漢・魏時代の史書にみえる中央アジアの国。張騫(ちょうけん)の報告で中国に知られ,シル・ダリヤ川の下流域のトルコ系遊牧民が中心。東は烏孫(うそん),西は奄蔡(えんさい),南と南東は大月氏(月氏)と接し,東西貿易路に当たっていた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「康居」の解説

康居(こうきょ)
Kangju

前2~後4世紀頃,シル川の下流域を本拠としたトルコ系民族。『史記』は康居を「行国」(移動する国=遊牧国家)とするが,考古学資料によれば定住農耕民もいた。サマルカンドを示す康国とは無関係。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「康居」の意味・わかりやすい解説

康居
こうきょ
Kang-ju; K`ang-chü

中央アジアの古代遊牧民族あるいはその国家。『漢書』によれば,本拠は卑 闐城と記され,その王は冬は楽越匿,夏は蕃内にいたとあり,一定の地域内を遊牧していたことがうかがわれる。チュルク系の部族で,シルダリア中流域にいたと考えられる。なお卑 闐城をタシケントとする説がある。

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旺文社世界史事典 三訂版 「康居」の解説

康居
こうきょ

漢〜晋の中国史書にみえる西域の遊牧民族の国名
シル川下流域を本拠とするトルコ系の民族で,東西交通の要路にあったため,早くから中国に知られていた。

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