延年[毛越寺](読み)えんねん[もうつうじ]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「延年[毛越寺]」の意味・わかりやすい解説

延年[毛越寺]
えんねん[もうつうじ]

岩手県平泉町毛越寺で,毎年 1月20日の二十日夜祭に演じられる延年。中世芸能の面影をとどめるものとして知られている。この日は 1月14日から続く法会の結願の日にあたる。奥殿に摩多羅神をまつる常行堂で,常行三昧供の勤行のあと,僧侶と稚児たちにより延年が行なわれる。演目は通常,2人の僧が法会終了の祝宴に僧たちを誘う呼立(よびだて)から始まり,田楽躍,2人の少年による路舞(唐拍子),御幣を持ち鼻高面をかぶった僧が摩多羅神の由来や利生息災延命の祈りなどを声を立てずに唱える祝詞(のっと),老女,若女・禰宜(ねぎ),児舞(ちごまい。『花折』『王母ヶ昔』を隔年で演じる),勅使舞,舞楽(『迦陵頻』)と続く。このほか,以前は延年舞と呼ばれていた能の四番(『留鳥』『卒塔婆小町』『女郎花』『姥捨山』)が隔年で二番ずつ演じられていた。また,かつては見物人が舞に対して盛んに悪口を言う習慣があり,悪態がひどいほどその年は豊作になるとされていた。国指定重要無形民俗文化財。

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