精選版 日本国語大辞典 「引出」の意味・読み・例文・類語
ひき‐だ・す【引出】
〘他サ五(四)〙
① 物や人を引いて外に出す。引っ張り出す。ひきいだす。ひきいず。
※平家(13C前)四「その仲綱めに鞍おいてひきだせ」
② 連れ出す。誘い出す。引っ張り出す。
※両足院本山谷抄(1500頃)一「此人を朝廷に引たいて大に用いたけれども引出す人が無ぞ」
③ 遊女などを身請けする。請け出す。
④ 隠れている物事を表面に出す。引っ張り出す。ひきいだす。ひきいず。
⑤ 事をひき起こす。発生させる。
⑥ 資金を、他の人や機関に出させる。
⑦ 預金や貯金を、預けてある所から出す。おろす。
⑧ 引合いに出す。また、引用する。
※天草本平家(1592)一一「フルイ コトドモ fiqidaite(ヒキダイテ) ソレニ タグエ」
ひき‐い・ず ‥いづ【引出】
〘他ダ下二〙
① =ひきだす(引出)①
※蜻蛉(974頃)上「すこしひきいでて、牛かくるほどに」
② =ひきだす(引出)④
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「ことひきいでてさわがれば聞きにくからん」
③ 引出物として贈る。差し出す。
※落窪(10C後)三「女はまめやかなる物をひきいでけると、ちぎりを結ぶ」
④ 引用のために取り出す。例として引く。
ひき‐いだ・す【引出】
〘他サ四〙
① =ひきだす(引出)①
※書紀(720)神武即位前(熱田本訓)「自(をのれ)機(おし)を蹈て圧死(をそはれし)ぬ。時にその屍を陳(ヒキイタ)して」
② =ひきだす(引出)④
③ 例として引く。引用する。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「彼髪長媛から引出(ヒキイダ)して、我大御国の古事来歴」
ひき‐で【引出】
〘名〙 (「ひきいで」の変化した語)
① (━する) 引き出すこと。引っ張り出すこと。また、そのもの。
※書紀(720)白雉四年五月・歌謡「鉗(かなき)着け 吾が飼ふ駒は 比枳涅(ヒキデ)せず」
② 「ひきでもの(引出物)」の略。
※浄瑠璃・伊賀越道中双六(1783)五「聟引出の此目録」
しょびき‐だ・す【引出】
〘他サ五(四)〙 相手をむりやりに外に引き出す。ひきずり出す。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四「その時平とやらアしょびき出してぶったたけ」
ひん‐だ・す【引出】
〘他サ四〙 「ひきだす(引出)」の変化した語。
※日葡辞書(1603‐04)「ウマヲ findasu(ヒンダス)」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報