引敷(読み)ひっしき

精選版 日本国語大辞典 「引敷」の意味・読み・例文・類語

ひっ‐しき【引敷】

〘名〙
毛皮などに緒をつけ、腰に結んですわる時に敷物とするもの。腰当て。尻皮
史記抄(1477)一一「ひっしきをしいて、門にいたれば、あげくに逢てわるくあいしらうたぞ」
② 一般に、敷物。ひしきもの。
浮世草子西鶴織留(1694)一「茶繻子の引敷(ヒッシキ)
③ (①から転じて) 腰または尻をいう。
※玉塵抄(1563)三一「腿靨は不知ぞ。〈略〉ひっしきのあたりにえくぼはあるまいぞ」
太平記(14C後)三三「馬は南部が引敷(ヒッシキ)の下に在ながら」

ひ‐しき【引敷】

〘名〙

ひき‐し・く【引敷】

〘他カ五(四)〙 下に押えつけて、自由を奪う。ひっしく。
歌舞伎彩入御伽草(1808)小平次内の場「おまきを引敷(ヒキシ)き〈略〉、縄を取っておまきを縛り」

ひっ‐し・く【引敷】

〘他カ四〙 「ひきしく(引敷)」の変化した語。
※史記抄(1477)七「さるほどに威勢があって人につよくをぢられてひっしかれたぞ」

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デジタル大辞泉 「引敷」の意味・読み・例文・類語

ひ‐しき【引敷】

引敷物」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の引敷の言及

【毛皮】より

…さらに鞍(くら)下の敷物,野外休息の敷皮などの用途のほか,鎗(やり)の鞘(さや),刀の鞘などを包むなど用途は広く,クマ,サルの毛皮もうつぼの外装に用いられた。庶民はカモシカの毛皮を腰当,引敷(ひつしき)に用い,雪中の行動には,毛の方を内側にしたクマ,カモシカの毛皮の手袋,足袋が盛んに用いられている。カモシカの毛皮の引敷は水をとおさず温かいので,岩上に座して行をする修験者が古来愛用した。…

※「引敷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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