張勲(読み)ちょうくん

精選版 日本国語大辞典 「張勲」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐くん チャウ‥【張勲】

中国北洋軍閥軍人江西省の人。字(あざな)は少軒。袁世凱に重用され、辛亥革命・第二革命には南京で革命軍と戦う。一九一七年、康有為らと清朝再興を謀り、溥儀を擁立したが、段祺瑞らの攻撃を受けて失敗、のち天津で病没。(一八五四‐一九二三

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デジタル大辞泉 「張勲」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐くん〔チヤウ‐〕【張勲】

[1854~1923]中国、末の北洋軍閥の軍人。江西省の人。あざなは少軒。袁世凱えんせいがいもと雲南・江南提督などを歴任、のち安徽あんき督軍。1917年北京に入り清朝復辟ふくへきを宣言したが、段祺瑞だんきずいの討逆軍に敗れた。チャン=シュン。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「張勲」の意味・わかりやすい解説

張勲
ちょうくん / チャンシュン
(1854―1923)

中国、北洋軍閥の軍人。江西省に生まれる。日清(にっしん)戦争敗戦後、袁世凱(えんせいがい)の新軍編成に参画し、袁の山東の義和団鎮圧に加わった。のち北京(ペキン)で西太后(せいたいこう)と光緒(こうしょ)帝の護衛役を務め、雲南、甘粛(かんしゅく)、江南提督を歴任した。辛亥(しんがい)革命に際し、南京(ナンキン)で革命軍と戦って敗れたが、袁世凱の大総統就任後、部隊を武衛前軍と改称して兗州(えんしゅう)に駐屯し、安徽(あんき)督軍の地位を得た。清朝に忠誠を誓って、部下の剪髪(せんぱつ)を禁じ弁髪でいたので、彼の軍は「弁子軍」とよばれた。1917年、黎元洪(れいげんこう)総統と段祺瑞(だんきずい)総理との抗争に際し、調停の名目で北京に入り、溥儀(ふぎ)を擁立して清朝の再興を図り、自ら議政王大臣兼直隷総督・北洋大臣に任じたが、段祺瑞の「討逆軍」に敗れ、のち天津(てんしん)で病死した。

[小島晋治]

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改訂新版 世界大百科事典 「張勲」の意味・わかりやすい解説

張勲 (ちょうくん)
Zhāng Xūn
生没年:1854-1923

中国の軍人。江西省奉新県の人。字は紹軒。1899年(光緒25)の山東義和団鎮圧で名を挙げ,民国成立後は,反革命の最保守派として終始した。辮髪の風習を残していたために辮軍と呼ばれたその軍隊は,1913年9月,第二革命弾圧に出動して南京で略奪事件を起こし,日本の干渉を招いた。張勲は,第1次大戦参戦問題をめぐる国内政局の乱れに乗じて,17年7月,清朝復辟(ふくへき)のクーデタを敢行したが,その天下は12日しか続かなかった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「張勲」の意味・わかりやすい解説

張勲
ちょうくん
Zhang-Xun; Chang-Hsün

[生]咸豊4(1854)
[没]1923. 天津
中国,清末,民国初期の軍人。江西省奉新県の人。字は少軒。袁世凱の部下となり,光緒 26 (1900) 年義和団鎮圧 (→義和団事変 ) の功により記名提督に進み,次いで各地の提督を歴任。辛亥革命が起ると両江総督に任命されたが,革命軍に敗れた。以後も袁世凱に従い,1916年安徽督軍となった。 17年北上して溥儀を擁立し,清朝再興をはかる張勲の復辟事件 (→復辟運動 ) を起したが 10日で失敗した。彼の軍の多くは辛亥革命後も辮髪をつけていたので辮子軍と呼ばれた。

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百科事典マイペディア 「張勲」の意味・わかりやすい解説

張勲【ちょうくん】

中国,清末民国初期の軍閥。江西省の人。袁世凱に信任され,各地の提督を歴任。民国初めの第二革命で袁世凱を支援し,南京を奪還。1917年黎元洪支援の名目で北京に入城,国会解散,宣統帝の復辟(ふくへき)を企図したが,段祺瑞らの反撃で失敗した。その軍は辮髪(べんぱつ)を誇りとし辮子軍と呼ばれた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「張勲」の解説

張勲(ちょうくん)
Zhang Xun

1854~1923

中国の軍人。江西省奉新県の人。袁世凱(えんせいがい)のもとで活躍し,両江総督,長江巡閲使などを歴任。1917年国会を解散させ,清朝の再興をはかり宣統帝溥儀(ふぎ)を擁立し,みずから内閣の首班となった。しかし10日あまりで失敗,政治生命を失った。

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