張札(読み)はりふだ

改訂新版 世界大百科事典 「張札」の意味・わかりやすい解説

張札 (はりふだ)

近世庶民が非合法的要求を記して,人目につきやすい場所に張り出した札。捨訴張訴領主や支配役所に対する訴願であるのに対し,張札,落文(おとしぶみ)は豪農商や村役人層に対する脅迫的言辞を伴った世直しの要求である。放火の予告を伴う火札を目的の家や高札場に張り出すなどがその例で,安政の開港以後町方に多くみられた。幕府は捨訴と同様に無視し,焼却することとしていたが,騒擾や社会的不穏の拡大することを警戒し,届出と町村ごとの取締りや密告調査を強化した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android