強磁性フェライト(読み)きょうじせいフェライト

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「強磁性フェライト」の意味・わかりやすい解説

強磁性フェライト
きょうじせいフェライト

酸化第二鉄 ( Fe2O3 ) と他の金属酸化物から成る亜鉄酸塩 (フェライト) のうち,交換相互作用によるフェリ磁性を示す強磁性体をいう。用途が広く,次のような特長を持つ。 (1) 原材料コスト・製造コストともに安価で量産容易,(2) 電気抵抗が著しく高いので高周波領域でも,うず電流損失が小さい,(3) 金属合金系の磁性体より軽く比重が半分以下,である。強磁性フェライトは,硬磁性体と軟磁性体とに分けられる。硬磁性フェライトの代表例はバリウムフェライト BaO・6Fe2O3 とストロンチウムフェライト SrO・6Fe2O3 であり,永久磁石として各種の音響機器,測定器,モータや発電機などに使用される。軟磁性フェライトの例には Ni-Znフェライトと Mn-Znフェライトがある。 100MHzくらいまでの高周波コイル・トランス用の磁心に使われる。さらに,スイッチング電源のトランスや磁気記録装置の磁気ヘッドにも広く使用される。また,マイクロ波帯でサーキュレータなどの非相反回路素子に使われる希土類,鉄ガーネットも軟磁性フェライトの一種であり,イットリウム鉄ガーネット (YIG; 3Y2O3・5Fe23O ) などがよく使用される。

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