形態形成(読み)けいたいけいせい(英語表記)morphogenesis

翻訳|morphogenesis

精選版 日本国語大辞典 「形態形成」の意味・読み・例文・類語

けいたい‐けいせい【形態形成】

〘名〙 生物の発生において新しい形態が生じてくる過程。ふつう細胞構成後における形態を問題とし、成長、分化、形態生成運動などに分けて考察される。形態生成。

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デジタル大辞泉 「形態形成」の意味・読み・例文・類語

けいたい‐けいせい【形態形成】

生物の発生において、種特有の形態をとるに至るまで、いろいろな形態を作り出していく過程。細胞が構成されたのちの、各組織・器官の形や大きさ、相互の配列関係などが定まってくる過程。形態生成。

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改訂新版 世界大百科事典 「形態形成」の意味・わかりやすい解説

形態形成 (けいたいけいせい)
morphogenesis

多細胞生物はそれが動物であってもまた植物であってもすべて細胞からできている。細胞は集まってさまざまな組織器官を形づくり,それらの組織や器官が複雑に組み合わされて個体を構築している。したがって,細胞は多細胞生物個体の構築単位ということができる。ところで,多細胞生物個体の組織や器官の構成細胞は互いに独立しているのではなく,それぞれの組織や器官に特異的な様式で一つの細胞社会をなしている。つまり組織化されてはじめて,細胞はその固有機能を発現することができる。このような多細胞体制にあって,細胞から個体に至る過程での動的な〈形づくり〉のすべてを形態形成という。しかし,形態形成という言葉は,必ずしも多細胞生物個体の形づくりの場合にのみ用いられるわけではない。たとえば,細菌の鞭毛はフラジェリンという1種類の粒状タンパク質分子の重合体である。フラジェリンが機能的な鞭毛へと重合していく過程もやはり形づくりである。このような場合も形態形成ということができる。つまり,ある生体構造の構成単位が,分子であれ細胞であれ,さらに細胞集団であれ,次元が異なるだけで形づくりという概念は共通なので,分子レベルの形態形成,細胞レベルの形態形成というように,形態形成という言葉は今日広く活用されている。

動物の形態形成は植物のそれと基本的に異なるといってよい。植物細胞のようなじょうぶで厚い細胞壁cell wallのない動物細胞は,容易に形を変えたり運動して位置を変えたりすることができるからである。胚葉形成は動物個体の発生過程で最初におとずれる動的変化である。その様式はおもに卵に含まれる卵黄の量と分布に依存すると理解してよいが,基本的には一つの細胞層から性質の異なる3種類の細胞層(胚葉)が派生する過程ということができる。たとえば,イモリカエルなど内部に腔所をもつ胞胚blastulaでは,胞胚の壁が特定の部位から胞胚腔に入り込むことで胚葉形成が進む。この過程は単に胚の一部で細胞の集団が内側の腔所に落ち込むといった単純なものではなく,胚体全域におよぶきわめて複雑な造形運動なのである。原口blastoporeの形成がはじまると,まず動物極側で細胞が集団をなして植物極側を包み込むように移動し,原口から順次胞胚腔に向かって流入する。このような変化がしだいに植物極側におよんでいく。一般に陥入invaginationと呼ばれるこのような過程は,胚葉形成をおこなうすべての動物胚に普遍的であるといってよい。胚葉形成は動物個体の発生過程での最初の形態形成運動といわれるが,これが成立するには細胞の接着性や運動性の発現がきわめて重要な要素をなしている。たとえば,原口形成にさきだって,その部分の細胞に特殊な変化がおこる。フラスコ細胞flask cell(びん型細胞ともいう)の出現はその一つである。この細胞は長い柄をもったフラスコ形の細胞で,細胞本体は胚の奥深くにあり,その長い柄の先端は胚表に出て広範囲に突起をのばし,周辺の胚表細胞に強く接着している。柄の部分と突起には強い収縮能があり,それぞれが交互に収縮することで胚表細胞が内方へ引きずり込まれるといった過程が,両生類の原口形成期胚の詳細な観察から示唆されている。

 形成された3種類の胚葉が組織や器官の形態形成の原点となる。ところで,胚葉は全体としては三次元的な形をなして動物胚を構成しているが,その微小部分は二次元状の上皮様組織と考えてよい。したがって,胚葉の各部域から形成されるさまざまな組織や器官の形態形成は,二次元的な胚葉部分が管や囊胞などの三次元構造へ変化する過程と見ることができる。たとえば,神経板neural plateの両側端が背方にせり上がり正中で癒合することで神経管neural tubeは形成される。次に神経管壁が随所でくびれたり外方に突出することで,脳胞や感覚器官の原基が形成される。このような器官形成における二次元状組織の三次元的な管構造や囊胞構造への形態形成過程が,輸卵管の粘液腺や唾液(だえき)腺について1970年ころから盛んに研究されるようになった。そして,それらの形成過程における細胞機能や細胞の機能発現に関与する細胞諸構造の性状と役割が明らかにされつつある。多くの腺組織はやはり管と囊胞とを基本構造としてそなえている。これらの構造は細胞が1層をなしてすき間なく配列した上皮からできてくる。このような上皮の各所の細胞の自由表面側に収縮微繊維の集束が環状に形成される。この環状繊維束が収縮能を発現すると各細胞の一端が縮小し,細胞形態は柱状から錐状に変化する。各細胞は隣接細胞と互いに強く接着し合っているので,上皮はその部分で囊状に変化する。この過程の調節機構は不明なので,収縮構造の機能だけから腺構造の形成機序を説明することはできないが,この収縮構造を破壊すると上述の過程が阻止されることは実験的に証明されている。このように,複雑な多細胞形態の形態形成のしくみが今日では細胞生物学的に研究されている。
発生
執筆者:

植物の細胞は一般に固い細胞壁で囲まれており,この細胞壁の有無が形態形成に関して動植物間に決定的な違いを与えている。一つの植物細胞の分裂によって生じた二つの細胞は通常となり合せに配置され,その後の発生段階においても相対的な位置関係をほとんど変えず,したがって,発生過程を通じて植物体における細胞相互の位置関係は動物にくらべてはるかに固定的である。植物の形態形成においては特殊な場合を除けば細胞の運動性という要素を考慮する必要はほとんどなく,むしろ細胞の分裂能や伸長性が重要な意義をもつことになる。細胞の分裂と伸長は時間的・空間的に密に連関した形でおこるが,それだけでは一定の体制をもつ生物体の形成にはつながらない。組織化された生物体の形成には,部域に応じて細胞が構造的・機能的に特殊化すること,すなわち分化することが必要である。細胞分裂によって生じる体細胞には遺伝子は通常均等に分配され,細胞分化は遺伝子の差次発現differential gene expressionによっておこると考えられている。植物ではオーキシン,ジベレリン,カイネチンのような生長制御物質(植物ホルモン)が遺伝子の差次発現を通じて分化の制御に関与している。

 維管束植物胚発生においては,まず胚の両極に二つの明りょうな部域,すなわち茎頂分裂組織と根端分裂組織があらわれるが,これらは細胞の供給源として無限増殖できる性質をもっている。茎頂分裂組織は植物の一生を通じて組織や器官を形成しつづけ,葉や芽の原基を次々とつくり出すことによって苗条shootの伸長に関与しているし,根端分裂組織も根系を無限に形成する能力をもっている。このような現象は永久胚形成と呼ばれる。植物の組織・器官形成は,同種の組織や器官が次々につくられる点において反復的であり,動物が一定数の器官しかもたないこととは対照的である。頂端分裂組織の関与によって生長した植物体は一次体と呼ばれ,多くの場合この一次体が植物体全体をつくりあげる。

 寿命のとくに長い植物では,植物体の胴体を増すような別の発生様式がみられ,これには維管束形成層コルク形成層という二つの分裂組織が関係している。花芽形成については,葉原基や光周性との関連で詳細な生理・生化学的研究が進められている。光が関与する組織・器官形成はとくに光形態形成photomorphogenesisと呼ばれる。高等植物の形態形成においては,生長制御物質であるオーキシンの合成の部域性,極性輸送,その結果として生ずる生体内での濃度こう配パターンが重要な役割を果たすと考えられている。また,光形態形成におけるフィトクロムの関与はよく知られている。

 下等植物はその体制が比較的単純であることから,生理生化学的・遺伝学的・生物物理学的立場からの形態形成の解析が進められつつある。かつて,キノコの子実体形成をめぐって形態形成の場の概念が提起され,特有な形態の確立にはそれをコントロールする“場”の存在が重要であることが指摘された。また,単細胞藻類のカサノリAcetabulariaでは傘形成における核と細胞質の相対的重要性が実験的に証明されている。藻類のなかにはきわめて興味深い形態形成を示すものがほかにも多数あるが,そのしくみが解明されている例はごくわずかにすぎない。特異な生活史をもつ変形菌類,例えば細胞性粘菌では細胞の走化性運動と接着性増大によって細胞集団(偽変形体)が形成され,子実体形成に際して精妙きわまる形態形成運動を行う。子実体形成以前の偽変形体は細胞壁をもたないアメーバ状細胞から構成されており,極性運動を行うとともに前後軸にそって部域的な分化をとげる。この点は一般の植物細胞とは対照的である。しかし,子実体形成においては,細胞の極性運動および細胞分化に伴う接着性の部域的差異に加えて局在化された場所での細胞による細胞壁の形成が重要な意味をもつ。一般に,形態形成のメカニズムを考えるにあたって,内的および外的要素が統合された形で生体内に確立される極性が重要であり,その確立と作用の機構を明らかにすることが発生生物学における主要な課題となっている。
執筆者:

生物の形態形成はDNA→RNA→タンパク質→(細胞→)形態という連鎖によりDNAの情報が生物の形態に変換される過程とみることができる。この中で,DNAからタンパク質まではすでに大筋は明らかになってきたが,タンパク質から(細胞を経て)形態が形成される過程はいまだにはっきりした筋道が得られていない。形態形成の数学理論は,生物学的には,この間をつなぐ作業仮説としての性格をもつ。1952年にチューリングA.Turingは放物型偏微分方程式によって形態形成の説明を試みた。細胞の特性を決める複数種の化学物質を想定し,これらは触媒的な反応によって平衡濃度をもつものと仮定する。この平衡状態は拡散がない場合は安定でいつまでも変化しない。ところが,物質の拡散がゆるされ,それらの拡散定数の大きさに著しい差があると空間的に一様な平衡状態は不安定になり,空間的に一様でない濃度の分布が生じる。チューリングはこれによって生物の形態が決定されるとした。この理論は以前からあった濃度こう配説の流れをくむものではあるが,当時はあまり注目されなかったようである。最近,この現象はシンメトリブレーキングと呼ばれ,一般にパターン形成の一つの形式であると考えられている。一方,形態形成の研究の一手法として,生体の再生や修復が調べられているが,最近位置情報説を用いてこれらの現象をみごとに説明する実験が行われて注目されている。それは,生体の各部位の細胞はその位置を示す座標をもっており,再生や修復は座標の連続性と挿入細胞数の最少性の原理に従って実行されるとするものである。また,トムR.Thomは生物を一つの連続力学系とみなして,これにカタストロフィー理論を適用して形態形成の壮大な定性論を展開している。ただし,形態形成は各生物種にきわめて固有で,したがって多様な過程であるので,これらの理論のごとく,いくつかの原理で形態形成を説明することの意義について意見が分かれている。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「形態形成」の意味・わかりやすい解説

形態形成
けいたいけいせい

生物の発生において、類似の細胞の増加による単純な集合ではなく、新しい組織や器官の分化とその成長により生物固有の形づくりが進行する過程をいい、形態発生、形態生成ともいう。したがって、受精した卵が発生して個体になる現象は、胚(はい)のさまざまな部分におこる形態形成の総和であるといえる。形態形成に際して細胞群が著しい運動や移動を行うことが動物にも植物にも認められる。これを形態形成運動または造形運動という。

[川島誠一郎]

動物

形態形成は、個々の細胞の形態変化が互いに接着している細胞群全体の形態変化をもたらすことであると考えられている。たとえば棘皮(きょくひ)動物の発生では、受精卵が細胞分裂を繰り返し桑実胚(そうじつはい)から中空の胞胚になる。次に植物極から陥入して原腸をつくり嚢胚(のうはい)とよぶ段階に入る。原腸形成時には胞胚腔(こう)内面に繊維構造ができる。また、植物極側の細胞から細い糸状突起を伸ばし天井と結ぶ。この糸状突起を切断すると陥入が進行しない。すなわち、これらの構造の出現という個々の細胞の形態変化が、原腸陥入という形態形成運動と密接に関連している。

 形態形成運動は、胚の局所生体染色法により、問題にする細胞群の動きを追跡して観察される。ドイツのW・フォークトは、両生類胚の原腸形成に伴う細胞群の運動を生体染色法により分析し、原基分布図を作成した。初期発生における運動に対して、広義の形態形成運動には、たとえば変形菌類でアメーバ体の集団形成時にみられる運動も含める。

 形態形成は隣り合う2個の細胞の相互作用を最小単位としておこすものであるから、細胞間の接着の違いが形態形成に重要な影響を与えることになる。たとえば、突然変異により肢(あし)が多指となるニワトリの肢の芽細胞は、正常株の細胞よりも細胞接着性が高い。この差が肢という器官の最終的な形態に違いをもたらすと考えられる。こうした形態形成過程における細胞間相互作用がどのような分子の働きによって制御されているのかという研究も進んでいる。たとえば、センチュウC.エレガンスのU字型の生殖腺は、生殖原基の先端のリーダー細胞がU字型の軌跡で移動することによって形成されるが、この移動は原基の基底膜上に存在する酵素(メタルプロテアーゼ。活性部位に金属イオンを含むプロテアーゼ)によって制御されることが、理化学研究所のグループにより明らかにされている。

 マクロな観点から形態形成を眺(なが)めると、特定の細胞や胚域が中心になって原腸や神経管が形成され、やがて胚のさまざまな部位で特定の組織や器官が分化してくることから、ある仮定的物質の濃度に胚軸方向に沿った勾配(こうばい)があり、形態形成のポテンシャルの値(形態形成の能力を規定する量)を変えると考えられてきた。このポテンシャルには、それが単一の勾配によるとする概念と、直交する2本の勾配(頭尾ポテンシャルと背腹ポテンシャル)によってつくられているとする立場とがある。しかし形態形成のポテンシャルの量的変化が、異なる器官の分化のような質的変化をなぜ発現するかについての原理的な仕組みは、なお明らかにされていない。そこで、この問題を位置情報という概念から解明しようという立場もある。正確な形態形成がおきるためには、個々の細胞が正確な位置情報をもっている必要があるが、それはおそらく、特定分子の不均一な分布ないし不均一な化学反応を進行させるような制御系の存在としてとらえることができるであろうとするものである。

[川島誠一郎]

植物

植物学では、植物体の発生・成長に伴っておこる特定の構造の形成あるいは変化を形態形成という。なお、ミトコンドリア・葉緑体などの細胞内構造の形成、さらには高分子の高次構造の構築をも含めてこの語が使われる場合もある。一般に、形態形成は、分裂してできた新しい細胞が特定の生理機能と形態をもった細胞に分化し、ある決まった組織をつくりあげることによっておこる。植物においては、動物の場合のように細胞の移動による形態形成運動はみられないため、組織の細胞間における相互の空間的配置の関係は時間が経過しても変わることはない。また、植物の形態形成は動物ほどには複雑ではなく、とくに栄養成長期においては、茎頂と根端とで決まったパターンの形態形成が繰り返し継続する。

 高等植物では、分裂組織とよばれる部域に細胞分裂活動が局在し、植物の一生を通じて分裂が繰り返される。茎頂および根端に局在する分裂組織は、それぞれ、茎(葉条)と根を形成し、植物の基本的形態としての軸的体制を形づくる。茎頂では栄養成長の続く限り葉原基が植物によって決まった配置で形成される。これらの頂端分裂組織は、高度の安定性と恒常性を有するため、形態形成に関してある種の決定を受けていると考えられている。分裂組織はこのほか葉の基部(節)にもあり、ここでは側芽が形成される。また、二次成長にみられる形成層は、二次木部(もくぶ)と二次篩部(しぶ)を形成し、茎・根の肥大をもたらす。

 植物の形態形成能は一義的には遺伝的に決定されているが、その発現は光・温度などの環境要因によって調節を受ける。とくに光による調節は光形態形成(こうけいたいけいせい)とよばれる。形態形成には、内的要因として植物ホルモンが関与している。環境刺激は植物ホルモンを介して作用することが多く、その合成、内生量、体内の分布(移動)などの変化によって形態形成が調節される。また、異なるホルモンの濃度比が関係することもある。たとえば、培養組織においては、サイトカイニンとオーキシンの濃度比が芽あるいは根を再分化する決定要因となるなどである。

[勝見允行]

『寺本英・山口昌哉編『岩波講座 現代生物科学17 組織と器官1』(1975・岩波書店)』『T・A・スチーブス、I・M・サセックス著、竹内郁男・前田靖男訳『発生生物学シリーズ6 植物の発生様式』(1979・丸善)』『石原勝敏著『生命科学シリーズ 発生のプログラム――発生学入門』(1986・裳華房)』『芋生紘志・山名清隆著『基礎生物学シリーズ6 発生』(1989・共立出版)』『江口吾朗ほか編『発生・分化の遺伝的背景――形態形成プログラム』(1990・東京大学出版会)』『岡田節人編『岩波講座 分子生物化学9 個体の生涯2』(1990・岩波書店)』『小林英司・山上健次郎編『発生――プロセスとメカニズム』(1991・東海大学出版会)』『太田次郎ほか編『基礎生物学講座6 発生と形態の形成』(1991・朝倉書店)』『原襄著『植物形態学』(1994・朝倉書店)』『日本節足動物発生学会編『昆虫発生学』上(1996・培風館)』『西永頌編著『結晶成長の基礎』(1997・培風館)』『宮島篤編『サイトカンの機能を探る』(1998・羊土社)』『新居直祐著『果実の成長と発育』(1998・朝倉書店)』『ヴェルナー・ラウ著、中村信一・戸部博訳『植物形態の事典』(1999・朝倉書店)』『岩槻邦男・加藤雅啓編『多様性の植物学2 植物の系統』(2000・東京大学出版会)』『ルパート・シェルドレイク著、幾島幸子・武居光太郎訳『生命のニューサイエンス――形態形成場と行動の進化』(2000・工作舎)』『大森正之・渡辺雄一郎編著『新しい植物生命科学』(2001・講談社)』『鈴木範男ほか編著『分子生物学への招待』(2002・三共出版)』『中沢信午著『形態形成の原理』(2003・裳華房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「形態形成」の意味・わかりやすい解説

形態形成
けいたいけいせい
morphogenesis

生物の発生過程において新しい形態が生じてくることをいい,細胞核,ミトコンドリア,色素体などの微小器官をはじめとして,胚,根,茎,葉などの巨視的なものまでいろいろなレベルでの形態に関していわれる。形態形成は成長,分化,形成運動などの複合的過程であると考えられる。

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世界大百科事典(旧版)内の形態形成の言及

【細胞分化】より

… 細胞分化の現象には,細胞の死ということも含まれる。たとえば形成中のニワトリの肢(あし)(肢芽)では,ある時期になると決められた部位の細胞がいっせいに死ぬことによって,肢の分離などの形態形成に一役買っていることが知られている。生殖器官形成の際にも見られるこのように秩序だった大量の細胞の死も,あらかじめプログラムされた分化形質の一つであり,細胞分化の過程が形態形成の過程との緊密な関係のもとに進行するものであることをよく物語っている。…

【生長点】より

…茎頂と根端とは植物体の頂端部にある分裂組織であるから生長点とよばれるが,これに対して形成層とコルク形成層は側方部にあるため側部分裂組織とよばれ,生長点とはいわない。茎頂は新しい茎と葉のほかに花を作ることもあり,根端は根を作るのであるから,生長点は茎・葉・根をもつ高等な植物における形態形成の中心的役割をもつ。しかし,生長点という用語が適用される“点”について,顕微鏡による研究が進むに従って,単なる点ではなく多数の細胞からなる部分であることがわかってきた。…

※「形態形成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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