影武者(読み)カゲムシャ

デジタル大辞泉 「影武者」の意味・読み・例文・類語

かげ‐むしゃ【影武者/陰武者】

敵の目を欺くために、大将などと同じ服装をさせた身代わり武者
陰にあって、表面にいる人の働きを助ける人。または、表面の人を操る人。黒幕
[補説]作品名別項。→影武者
[類語]武士武士もののふ武者武人武将若武者荒武者落ち武者古武士野伏二本差し

かげむしゃ【影武者】[映画]

黒沢明監督・脚本による映画題名。昭和55年(1980)公開武田信玄の影武者となった男の数奇な運命を描く。出演仲代達矢山崎努萩原健一ほか。カンヌ国際映画祭パルムドール、セザール賞最優秀外国映画賞受賞。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「影武者」の意味・わかりやすい解説

影武者
かげむしゃ

影は似せてつくったものの意で、戦場で敵の物見(ものみ)(斥候(せっこう))や先陣を欺く手段として用いられた。なかでも戦国の武将は不時に備えて自分の体格や容貌(ようぼう)に似通った者をあらかじめ身代りにたてたり、また部下に主将と同じ装束をさせて陽動作戦をとったりした。

 1561年(永禄4)9月10日の川中島の戦いで、八幡原(はちまんばら)の武田信玄(しんげん)の本陣に単騎斬(き)り込みをかけた法師武者(ほうしむしゃ)は、実は上杉方の先陣荒川伊豆守詮義(いずのかみあきよし)であり(「上杉年譜」)、一方、武田方にあって軍配団扇(ぐんばいうちわ)で防戦した大将は、実は信玄の弟逍遙軒信廉(しょうようけんのぶかど)であったといわれる。また、大坂夏の陣で、豊臣(とよとみ)方の真田幸村(さなだゆきむら)は、穴山小助、根津甚八(じんぱち)ら何人もの影武者を使って神出鬼没の働きをみせ、大いに関東方を苦しめたという。なおいまでは、陰(裏面)にあって人々に指図したり、工作したりする者にも影武者という語が使われている。

[渡邉一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「影武者」の解説

影武者

1980年公開の日本映画。英題《Kagemusha》。監督・脚本:黒澤明、脚本:井手雅人、音楽:池辺晋一郎、美術:村木与四郎。出演:仲代達矢、山崎努、萩原健一、油井孝太、大滝秀治、室田日出男、隆大介ほか。戦国時代、武田信玄の影武者となった男の運命を描く。カンヌ国際映画祭パルム・ドール、セザール賞最優秀外国映画賞受賞。第35回毎日映画コンクール日本映画大賞、日本映画ファン賞、監督賞、音楽賞、美術賞受賞。第23回ブルーリボン賞作品賞、主演男優賞(仲代達矢)、新人賞(隆大介)ほか多数受賞。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android