後先・跡先(読み)あとさき

精選版 日本国語大辞典 「後先・跡先」の意味・読み・例文・類語

あと‐さき【後先・跡先】

〘名〙
① 場所、時間のあととさき。前後。また、過去と現在。
四河入海(17C前)一二「人のあとさきにつきあるくものぞ」
人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)二「娘二人、〈略〉前後(アトサキ)歩行(あゆむ)は」
② 細長いものの一方の端と他方の端。初めと終わり。先端と末端
※談義本・当世穴穿(1769‐71)三「私は御当地に名高ひ正継の中ほこ、跡先(アトサキ)は仕だし物」
物事の始めから終わりまですべて。また、話や考えなどの一貫すべき筋道
※古文真宝笑雲抄(1525)五「いかにあとさきあふたことなりとも」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初「前後(アトサキ)わからぬお長(てう)が娘心」
順序が入れかわること。また、話の筋道があわないこと。食い違いを生じること。
※俳諧・犬子集(1633)一「かへり点の文字か跡先帰鴈〈貞徳〉」
浮世草子・世間娘容気(1717)二「旦那の仰付られと、口上もあとさきにせき切て申しければ」
花ガルタで行なうばくち一種。勝負の最初から一定の金額をかけ、そのあとでまたかける。また、札の一~一二月の数のうち九(菊=九月)が最強、一〇(紅葉=一〇月)はゼロで最弱、一(松=一月)と一一(雨=一一月)はともに一とし、場にくばった二枚の札を「あと」と「さき」に決め、どちらかに賭ける、という別の説もある。
※浮世草子・御前義経記(1700)八「後(のち)には三枚がるたのおせおせ、四郎三郎は血気にまかせ、銭の有たけ跡(アト)さきにはり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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