徒弟(読み)とてい

精選版 日本国語大辞典 「徒弟」の意味・読み・例文・類語

と‐てい【徒弟】

〘名〙
弟子門人
三国伝記(1407‐46頃か)一「周の敬王の世に閔子騫と云者あり、孔子の徒弟也」
※読本・雨月物語(1776)青頭巾「又活てあるときは我ために一個(ひとり)の徒弟(トテイ)なり」 〔釈氏要覧‐師資篇〕
幼年から親方の家に住みこんで、職業に必要な知識・技能習得する年季奉公少年。丁稚(でっち)小僧
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一「少年の時は倫敦の裁縫匠の徒弟なりしなり」

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デジタル大辞泉 「徒弟」の意味・読み・例文・類語

と‐てい【徒弟】

親方の家に住みこんで商工業技術を見習う少年。丁稚でっち。小僧。
門人・弟子。
[類語]小僧丁稚

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「徒弟」の解説

徒弟(とてい)
Apprentice

中世ヨーロッパの手工業労働において,親方職人もとで弟子として修業し,職人となるまでの年季奉公人呼称。通常徒弟は,10歳前後に徒弟契約を親方と結んだ。そして徒弟金を支払って親方の家に住み込み,衣食住を提供され,技術指導を受けた。徒弟期間は,職種や地域(都市)によって多様であった。例えばパリの同業組合規約(1268年頃)では,最も短い職種で2年,最も長い職種で12年であったが,3~5年が一般的であった。徒弟は,徒弟期間を終えると職人として働き,親方になるにふさわしい条件を満たせば,独立して親方として店を持つことができたが,中世後期の都市では親方の数が限定され,他の親方のもとで長期間職人として働かざるをえない場合も多かった。また都市から都市へと渡り歩く遍歴職人も少なくなかった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「徒弟」の解説

徒弟
とてい
apprentice

中世の手工業において,職人になるため親方のもとに弟子入りした年季奉公人の呼び名
職種・時代などによって長短(4〜10年)があるが,契約により親方の家に住み込み,技術の習得とともに家事などの雑用も手伝った。徒弟期間を修了した者は職人となり,他の親方の下で賃金を得るのが一般的であった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「徒弟」の解説

徒弟
とてい

江戸時代以降,手工業者のもとで技術修得を目的として奉公した者
丁稚 (でつち) ・小僧・弟子などともいう。7〜10年の年季奉公中は親方の家に住み,無報酬で親方の仕事の補助や家庭の雑務に従い,技術を修得した。年季あけには独立した職人となった。

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普及版 字通 「徒弟」の読み・字形・画数・意味

【徒弟】とてい

弟子。

字通「徒」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の徒弟の言及

【ギルド】より

…それがツンフト闘争とよばれる運動である。この頃ギルド内でも親方Meister,職人Geselle,徒弟Lehrlingの階層(徒弟制度)が生まれ,技術水準の維持が計られると同時に職人も兄弟団を結成し,親方に対抗する姿勢をとり始めた。この兄弟団はやがて職人組合Gesellenverbandへと発展してゆくことになる。…

【工房】より

…なんらかの手工業の職に就こうとする者は,親方のもとでギルドの定める一定期間の修業を済ませて職人となる。さらにギルドからその資格にふさわしい力量を認められれば,親方となって自分の工房を開くことができた(徒弟制度)。 古代・中世においては,美術品制作の手工業的側面が強調されたため,芸術家と一般の職人の間に原理的な区別はなく,中世においては絵画や彫刻の制作は工房制度に組み込まれていた。…

【職人】より

…一般に,自分の手先の技術により物を生産することを職業とする人をいい,その技術は,独自の徒弟制度により伝習されてきた。だが中世の日本では,在庁官人や芸能民なども広く職人と呼ばれていた。…

【徒弟制度】より

…手工業ギルドを中心に同職組合が形成された14世紀ころ,それと結合しつつ確立した。親方master(ドイツではマイスターと呼ばれる),職人journeyman,徒弟apprenticeという身分的な階層制度を形成する。親方は契約によって徒弟を雇い,衣食住を保証するが賃金は支払わず若干のこづかい銭を与える。…

※「徒弟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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