御家人株(読み)ごけにんかぶ

精選版 日本国語大辞典 「御家人株」の意味・読み・例文・類語

ごけにん‐かぶ【御家人株】

〘名〙 金銭で売買される御家人家格江戸時代の中期以後、生活に困窮した御家人が、表面上は養子縁組みの形で、その家格を農民町人などに売り渡すことが行なわれた。御家人の株。

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デジタル大辞泉 「御家人株」の意味・読み・例文・類語

ごけにん‐かぶ【御家人株】

江戸時代、御家人が生活困窮によって農民・町人などに売り渡した家格。表向き養子縁組の形をとった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「御家人株」の解説

御家人株
ごけにんかぶ

江戸時代,御家人の家格・役職とそれに付属する俸禄が物権化して売買の対象とされ,株と化したもの。とくに御家人のうち一代抱である抱席(かかえせき)は相続が認められず,当人の死亡・退役時には近親者が新規雇用の形式で跡を継ぐのが一般的であった。そのため町人や百姓子弟が養子縁組の手続きをとり,金銭でその地位を買いとる場合があった。江戸中期以降,御家人の窮乏化にともない,こうした株の売買は一般化し,町奉行所の与力が1000両,同心が200両,御徒(おかち)が500両のように相場が形成された。さらには譜代の御家人や下級旗本の株までが金銭で売買されるようになる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「御家人株」の解説

御家人株
ごけにんかぶ

江戸中期以後,御家人となる権利
富裕な町人・農民が多額の持参金をもって困窮した御家人の養子となったり,家格を買ったりすることが盛行。こうして買いとられた権利をいい,売却した者は「御家人くずれ」と呼ばれた。

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世界大百科事典(旧版)内の御家人株の言及

【徒士】より

…ところで,徒士は小禄であったため,経済的には幕初から窮乏し,竹細工や傘張り,植木や金魚などを売るといった,各種の内職をいとなんで生活を維持する有様であった。御家人の間では,つのる窮乏にたえきれず,その身分を株として売買することもおこなわれた(御家人株)。武家の職制としての徒士は,もと走衆ともいった。…

※「御家人株」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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