御宿(読み)おやど

精選版 日本国語大辞典 「御宿」の意味・読み・例文・類語

お‐やど【御宿】

〘名〙 (「お」は接頭語)
① 宿泊する人を敬って、その宿所や、その人を泊まらせることをいう語。
謡曲鵜飼(1430頃)「のうのうお僧、お宿を参らせうずる」
他人の家を尊敬していう語。お住まい。お宅。また、家に居ることや居る人を敬っていう語。
※虎寛本狂言・察化(室町末‐近世初)「そこもとに、こちの頼ふだ人の伯父御様のお宿はござらぬか」

おんじゅく【御宿】

千葉県房総半島の南東部、網代(あじろ)湾に面する地名沖合漁業中心地で、水産加工業発達海女(あま)によるアワビ採取は江戸時代から続く。

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デジタル大辞泉 「御宿」の意味・読み・例文・類語

おんじゅく【御宿】

千葉県、房総半島南東部、太平洋に面する地名。沖合漁業が盛んで、海女によるアワビ採取が江戸時代から続いている。

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改訂新版 世界大百科事典 「御宿」の意味・わかりやすい解説

御宿[町] (おんじゅく)

千葉県南部,夷隅(いすみ)郡の町。人口7738(2010)。太平洋に面し,町域には房総丘陵末端が広がる。古くから漁業が盛んで,《延喜式》に記された東鰒はこの地のアワビのことといわれ,江戸時代にはのしアワビが幕府に献上されている。また市場町でもあり,2・7の六斎市が開かれていた。磯浜の岩和田では現在も海女の潜水漁業が行われ,アワビ,サザエイセエビなどがとれる。遠浅網代湾は海水浴場としてにぎわい,御宿には旅館,民宿が多い。網代湾はその風光美でも知られ,童謡《月の砂漠》はこの海岸砂丘をモデルにしたといわれる。1609年(慶長14)に御宿海岸に漂着したスペイン人ビベロを救助したことを記念して〈日西墨交通発祥記念碑〉が岩和田に建てられ,メキシコ記念公園もつくられている。JR外房線が通じる。
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