御帳(読み)おちょう

精選版 日本国語大辞典 「御帳」の意味・読み・例文・類語

お‐ちょう ‥チャウ【御帳】

〘名〙
江戸時代犯罪者罪状所在嫌疑有無などを記録した奉行所帳簿
② 久離勘当(きゅうりかんどうちょう)。江戸時代、連帯責任を免れるため勘当し除籍した者を記載する帳簿。町村名主が保持し、認可した。
※雑俳・川柳評万句合‐安永六(1777)桜二「三度いさめてもちいずば御帳なり」
人別帳戸籍の類。
椀久物語(1899)〈幸田露伴〉三「思ひ切りました不孝者、〈略〉御帳(オチャウ)から久兵衛が名を抜きまする」

み‐ちょう ‥チャウ【御帳】

〘名〙 (「み」は接頭語)
貴人を敬ってその御座所のとばり、または帳台をいう語。
※後撰(951‐953頃)恋二・六八二・詞書「御帳のめぐりにのみ人はさぶらはせ給うて」
厨子(ずし)などの小さい木製の扉。
経覚私要鈔‐嘉吉三年(1443)六月二七日「御帳開之、用途被物一領代百疋進之」

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デジタル大辞泉 「御帳」の意味・読み・例文・類語

み‐ちょう〔‐チヤウ〕【御帳】

貴人を敬って、その御座所のとばりまたは帳台をいう語。
「―の内に入り給ひて、胸をおさへて思ふに」〈夕顔

お‐ちょう〔‐チヤウ〕【御帳】

江戸時代、犯罪者の罪状や所在などを記録した奉行所の帳簿。
江戸時代、勘当・除籍された者を記載した帳簿。町村の名主が保管した。

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世界大百科事典(旧版)内の御帳の言及

【寝室】より

…アイヌの住居では炉端の席が決まっており,各人の後ろの空間が寝場所になっていたので,おそらくそのような使われ方をしたのであろう。平安時代には上層の公家は寝殿内に御帳(帳台)という寝台を置いた。畳2枚ほどの台の上に4本の柱を立て,天井を張り,四方に帳を垂らしたもので,台の上に畳を置き,茵(しとね)を重ね,衾(ふすま)を掛けて就寝した。…

※「御帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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