御所落雁(読み)ごしょらくがん

精選版 日本国語大辞典 「御所落雁」の意味・読み・例文・類語

ごしょ‐らくがん【御所落雁】

〘名〙 富山県南砺市井波名菓。溶いた氷砂糖糯米(もちごめ)の挽粉(ひきこ)をこねて製した乾菓子。長方形紅色白色とがある。室町時代の文明年間(一四六九‐八七)、山城国京都府)の坂口治郎がつくりはじめ、その二代目が応仁兵乱をさけて井波に定住し、以後この地の名菓となったという。
浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)二「此中御所落鳫(ゴショラクガン)(いりかや)、さまざまの菓子つみて、剃刀かたし見へける」

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デジタル大辞泉 「御所落雁」の意味・読み・例文・類語

ごしょ‐らくがん【御所落×雁】

富山県南砺なんと井波地区の名物落雁和三盆を使い、淡紅色と白色とがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「御所落雁」の意味・わかりやすい解説

御所落雁
ごしょらくがん

富山県南砺(なんと)市井波(いなみ)の名物落雁。寒ざらしの越中糯米(えっちゅうもちごめ)を蒸し、太陽にさらしてから石臼(いしうす)にかけ、さらに鍋(なべ)で煎(い)る。これに和三盆を蜜(みつ)に溶いてあわせ、木型に詰める。木型に糸巻きの文様があるので、糸巻き落雁ともいう。御所落雁のいわれは、山城(やましろ)国愛宕(おたぎ)郡壬生(みぶ)(京都府)の武人板倉治部(じぶ)広定が御所の疲弊を嘆き、米粉を煎って打ち菓子をつくり、後土御門(ごつちみかど)天皇に献じて嘉賞(かしょう)されたことによる。のち板倉氏は、坊主大名といわれた瑞泉寺蓮乗(ずいせんじれんじょう)に従い井波にきたが、1581年(天正9)板倉弘方の代に、瑞泉寺顯秀(けんしゅう)が佐々成政(さっさなりまさ)の攻撃に敗れたのを機に菓子司に転じた。その板倉家に伝わる木型を譲られたのが、今日つくられる河内屋(かわちや)の御所落雁である。

[沢 史生

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