精選版 日本国語大辞典 「御方」の意味・読み・例文・類語
お‐かた【御方】
〘名〙 (「お」は接頭語)
① 人を敬っていう語。「かた」よりも敬意が高い。
※吾妻鏡‐延応元年(1239)八月八日「二棟御方 将軍家御寵。号二大宮殿一」
③ 中流以下で、他人の妻を呼ぶ語。近世では農家や一般町家の人妻に対していったが、青森県や九州地方では、今でも格式ある家の主婦に対していう。また、宮城・山形県や関東・甲信地方では、自分の妻のことを他にいう場合や陰口に使う。
※仮名草子・竹斎(1621‐23)上「頭巾は三条唐物屋甚吉殿のおかたより、赤き錦を百日ばかりの其内に心を尽し縫ひ立て」
④ おもに、女が男を深い敬意をこめていう語。遊里で多く用いた。
※歌舞伎・傾城壬生大念仏(1702)上「奥にござる民彌様は、傾城狂ひをなされたお方なれば」
⑤ 舅(しゅうと)と同居している場合の嫁の部屋。〔日葡辞書(1603‐04)〕
⑥ 貴人の家で部屋住みの息子の称(随・貞丈雑記(1784頃))。
おん‐かた【御方】
(「おん」は接頭語)
[1] 〘名〙
※落窪(10C後)一「うちわらひ給て、御かたにおはして」
[2] 〘代名〙 対称。貴人に対して用いる。あなたさま。
※堤中納言(11C中‐13C頃)はなだの女御「『御かたこそ、此の花はいかが御覧ずる』と言へば」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報