御暦の奏(読み)ごりゃくのそう

精選版 日本国語大辞典 「御暦の奏」の意味・読み・例文・類語

ごりゃく【御暦】 の 奏(そう)

中古陰陽寮の暦(こよみ)博士の作った明年の暦を天皇に奏上する儀式。一一月一日には紫宸殿具注暦正月節会では豊楽殿七曜暦を、中務省(なかつかさしょう)役人が奏上する。庭立ちの奏。こよみの奏。ごれきそう。《季・冬》 〔九暦‐九条殿記・御暦奏・承平五年(935)一一月一日〕

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デジタル大辞泉 「御暦の奏」の意味・読み・例文・類語

ごりゃく‐の‐そう【御暦の奏】

平安時代11月1日に、陰陽寮おんようりょう暦の博士が作成した翌年の暦を中務省なかつかさしょうの役人が天皇に奏上する儀式。こよみのそう。

おんこよみ‐の‐そう【御暦の奏】

ごりゃくのそう(御暦の奏)

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改訂新版 世界大百科事典 「御暦の奏」の意味・わかりやすい解説

御暦の奏 (ごりゃくのそう)

宮中儀礼の一つ。〈ごれきのそう〉〈こよみのそう〉ともいった。毎年11月1日に,陰陽(おんみよう)寮が作成した明年の暦を中務省に送り,中務省はこれを太政官を経ずに直接天皇に奏進する儀。南殿庭上において行ったため,庭立(にわたち)の儀ともいうが,降雨や天皇が出席しないときは,内侍に付して奏進した。《延喜式》等によると,天皇に具注暦(ぐちゆうれき)2巻(6月以前を上巻,7月以降を下巻)を,中宮・東宮にも各2巻を進めるほか,内外諸司に166巻(83部)をわかつ頒暦も行われた。頒暦を受けた内外諸司はさらにその写しを作り,所属の寮司や郡司に分け,年内にそれの配布を終了させる。正倉院に伝わる具注暦や地方官衙跡から出土した具注暦は,いずれも御暦の奏,頒暦の手続などを経たものである。なお毎年正月元日の節会の終了後に,中務省が七曜御暦を奏上する儀が行われるが,七曜暦は,日月や五惑星などの天体の位置を示したものである。
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世界大百科事典(旧版)内の御暦の奏の言及

【御暦の奏】より

…頒暦を受けた内外諸司はさらにその写しを作り,所属の寮司や郡司に分け,年内にそれの配布を終了させる。正倉院に伝わる具注暦や地方官衙跡から出土した具注暦は,いずれも御暦の奏,頒暦の手続などを経たものである。なお毎年正月元日の節会の終了後に,中務省が七曜御暦を奏上する儀が行われるが,七曜暦は,日月や五惑星などの天体の位置を示したものである。…

【御暦の奏】より

…頒暦を受けた内外諸司はさらにその写しを作り,所属の寮司や郡司に分け,年内にそれの配布を終了させる。正倉院に伝わる具注暦や地方官衙跡から出土した具注暦は,いずれも御暦の奏,頒暦の手続などを経たものである。なお毎年正月元日の節会の終了後に,中務省が七曜御暦を奏上する儀が行われるが,七曜暦は,日月や五惑星などの天体の位置を示したものである。…

【暦】より

…《延喜式》(10世紀に施行された律令の細則)によれば11月1日に翌年の暦を奏進することになっており,その日天皇は南殿に出御して儀式が行われた。これを御暦の奏という。具注暦は6月までのぶんを上巻,以後を下巻とする2巻に分かれ,毎年166巻作られることになっていた。…

※「御暦の奏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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