御田植式[伊雑宮](読み)おたうえしき[いざわのみや]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御田植式[伊雑宮]」の意味・わかりやすい解説

御田植式[伊雑宮]
おたうえしき[いざわのみや]

伊勢神宮の内宮(皇大神宮)の別宮である三重県志摩市磯部の伊雑宮で,6月24日に行なわれる祭り。御神田(おみた)とも呼ばれる。建武2(1335)年には行なわれていたことが知られるが,明治4(1871)年に中断し,1885年に虫除祈願として再興された。祭りは宮域の南に隣接する御料田で行なわれる。まず,立人(田道人〈たちど〉)や早乙女が田に入り,苗場を 3周半して苗を取る苗取りがある。次いで,田に立てられていた長さ 10mの青竹に「太一」の文字入り大うちわをつけた「ゴンバ団扇」を,3度あおいで田の中に倒し,磯部の漁民たちがその竹を奪い合う竹取行事がある。奪った竹は大漁祈願のお守りとして,船霊にまつられる。その後田をならし,太鼓ささらなどの囃子に合わせて,早乙女による御田植となるが,この時,太鼓打ちの男児が少女の装いで田船に乗って登場し,田植中休みの際には,男児 2人のささらによる早取挿(さいとりさし)の踊りがある。田植えが終わると,神社まで踊りを交えながら練り歩く踊り込みとなり,境内でのささらと太鼓打ちによる千秋楽で終わる。1990年「磯部の御神田」として国の重要無形民俗文化財に指定された。

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