御達(読み)おたっし

精選版 日本国語大辞典 「御達」の意味・読み・例文・類語

お‐たっし【御達】

〘名〙 (「お」は接頭語)
江戸時代上級官庁から下級官庁へ、法令指令などを送ること。また、その法令や指令。達。下達。
市中取締類集‐取締筋雑之部・二冊之内一・一・天保一三年(1842)三月「右者興行、御免有之候砌、伺之上町触及御達置候儀に付」
通達通知報告
随筆・宝暦現来集(1831)九「公儀え御達の上、御取計相成候ば」

ご‐たち【御達】

〘名〙 (「ご」は婦人敬称。「たち」は接尾語)
身分ある女性をうやまっていう語。ご婦人がた。
※延喜廿一年京極御息所褒子歌合(921)「ごたちもみな方わきてなむありける」
宮中貴族の家に仕える上級女房をうやまっていう語。
伊勢物語(10C前)一九「昔、をとこ、宮づかへしける女の方に、ごたちなりける人をあひ知りたりける」

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デジタル大辞泉 「御達」の意味・読み・例文・類語

ご‐たち【御達】

《「ご」は婦人の敬称》
身分ある女性たちを敬っていう語。ご婦人がた。
かゆの木引き隠して、家の―、女房などのうかがふを」〈・三〉
宮中・貴族の家に仕える上級の女房たちを敬っていう語。
「―、東のひさしにあまた寝たるべし」〈空蝉
[補説]複数でなく一人の場合もある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「御達」の意味・わかりやすい解説

御達
おたっし

江戸時代,幕府が発した単独法令の一形式。一部関係者だけに公布されるものであり,広範囲に公布される御触 (おふれ。→御触書 ) と異なる。平安時代における留司格のようなものと理解してよいと思われる。

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世界大百科事典(旧版)内の御達の言及

【御触書集成】より

…江戸幕府では通常の単行法令は,必要に応じて御触書の形で公布した。狭い範囲の人や役所にあてられたものを,とくに御達(おたつし)という。高札(こうさつ)も御触書の一種と見てよい。…

※「御達」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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