復興特別区域(読み)ふっこうとくべつくいき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「復興特別区域」の意味・わかりやすい解説

復興特別区域
ふっこうとくべつくいき

東日本大震災からの迅速な復興を促すため、被災地において規制緩和や税の特例措置を認める区域。復興特区ともいう。特定被災区域である222市町村への支援については、手続きを簡素化し1回の申請で済むようにしている。2011年(平成23)6月に制定した東日本大震災復興基本法に基づき、同年12月に成立した東日本大震災復興特別区域法で定められた。この地域の特例措置には以下の五つの分類がある。

(1)規制・手続き等の特例として、住宅関係では公営住宅の入居基準の緩和、産業関係では農林水産加工施設等の整備の開発許可特例など。

(2)土地利用再編の特例として、都市、農地森林の従来の枠組みを超えた再編計画特例や津波避難建物の容積率緩和など。

(3)税制上の特例として、被災地の産業集積を促す税の優遇や地方税減免のための減収補填(ほてん)など。

(4)財政・金融上の特例として、復興交付金や復興特区支援利子補給金など。

(5)国と地方の協議会を通じて追加・充実する特例措置。

 県や市町村が民間の提案も受け入れながら復興推進計画を作成して提出し、これが国と地方の協議会で認められれば復興特別区域と認定され、特例が受けられる。復興特別区域の最初適用は、2012年2月に認定された宮城県の「民間投資促進特区」である。県内34市町村の工業用地を復興産業集積区域に指定し、なかでも津波の被害が甚大だった沿岸部の15市町の集積区域に進出した企業には、法人税が5年間ゼロの優遇措置を適用するという計画になっている。

 東京電力福島第一原子力発電所事故で被害を受けた福島県については、復興特別区域を上回る規制緩和や税制優遇を認める福島復興再生特別措置法が2012年3月に成立した。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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