心前(読み)こころさき

精選版 日本国語大辞典 「心前」の意味・読み・例文・類語

こころ‐さき【心前】

〘名〙 胸の鳩尾(みずおち)のあたり。胸元(むなもと)。むなさき。
※石山寺本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「胸前(ココロサキ)に至りて、疼み痛み呻吟(によ)びて、検校すること能はず」
※義経記(室町中か)六「刀を取直し、左の脇の下にがはと刺し貫きて、右の肩の下へするりと引廻し、心さきに貫きて、臍の下まで掻落し」
[補注]「古事記‐上」の三貴子の分治の条に、須佐之男命が、八拳須(やつかひげ)が「心前」に至るまで激しく泣き続けたとある。この「心前」は、宣長がムナサキと訓んで以来、この訓に従うものが多かったが、ムナサキという語は上代に確例がないので、「古事記‐上」の「心前」も、ココロサキと訓むのが適当か。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「心前」の解説

心前 しんぜん

?-1589? 戦国-織豊時代の僧,連歌師。
真言宗奈良元興寺の高坊(たかんぼう)にすむ。のち京都にうつり,里村紹巴(じょうは)の側近となり,おおくの連歌にくわわる。代表作に母の十三回忌追善の独吟「心前千句」。天正(てんしょう)17年11月16日?死去俗姓は蘆中。号は蘆箏斎,蘆中庵。

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