忠信(読み)ちゅうしん

精選版 日本国語大辞典 「忠信」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐しん【忠信】

〘名〙 忠と信。忠実信義まごころを尽くし、うそ偽りのないこと。
霊異記(810‐824)上「天皇勅して留むること、七日七夜、彼の忠信を詠ひ」 〔易経‐乾卦・文言〕

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デジタル大辞泉 「忠信」の意味・読み・例文・類語

ちゅう‐しん【忠信】

忠と信。まごころをこめ、うそいつわりのないこと。

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改訂新版 世界大百科事典 「忠信」の意味・わかりやすい解説

忠信 (ただのぶ)

日本の芸能,音楽の作品名,またその通称。義経家来佐藤忠信を中心に作られている。

(1)能 四番目物。現在物。作者不明。シテは佐藤忠信。兄の源頼朝に都を追われた義経(ツレ)は,吉野の衆徒(しゆと)を頼って山中に身を潜めていたが,衆徒変心の報告を伊勢三郎(ワキ)から受け,佐藤忠信に防ぎ矢を命じて山を落ちのびる。やがて衆徒たち(ツレ)が押し寄せて来るが,忠信の防ぎ矢のために近づけない。機を見て忠信は切腹したと見せかけ,谷底づたいに逃れ,なお迫る追手を斬り散らして義経の後を追う(〈中ノリ地・ノリ地〉)。

 単純な斬組ミ物の能である。観世,宝生2流にだけあるが,後半の構成が違い,宝生流では斬組ミの囃子事が入って戦闘場面が長くなる。
執筆者:(2)歌舞伎舞踊 清元。本名題《幾菊蝶初音道行(いつもきくちようはつねのみちゆき)》。別称《吉野山》。1808年(文化5)5月江戸中村座で,3世中村歌右衛門,4世瀬川路考(瀬川菊之丞)により初演。作詞2世瀬川如皐(じよこう)。作曲初世鳥羽屋里長(とばやりちよう)。《義経千本桜》の四段目の道行《道行初音の旅》を江戸浄瑠璃にうつした数ある作品の一。初演は富本。桜花爛漫(らんまん)の吉野山に義経を尋ねて行く静御前狐忠信の道行。眼目の忠信の物語義太夫掛合に,また敵役の早見藤太を出すこともある。
執筆者:

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普及版 字通 「忠信」の読み・字形・画数・意味

【忠信】ちゆうしん

真心をつくす。〔易、乾、文言伝〕君子み、業を修む。忠信は以(ゆゑん)なり。辭を修め其のを立つるは、業に居る以なり。

字通「忠」の項目を見る

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「忠信」の解説

忠信
(通称)
ただのぶ

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
兜碁盤忠信 など
初演
享保13.11(江戸・中村座)

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世界大百科事典(旧版)内の忠信の言及

【義経千本桜】より

…しかし,構想の中心は義経にはなく,〈親兄の礼を重んずる者が平家の首の内,新中納言知盛,三位中将惟(維)盛,能登守教経,此三人の首は贋者。なぜ偽つて渡したぞ〉(初段)という川越太郎の言葉に示唆されているとおり,焦点は滅びゆく平家の3人の武将の運命に合わされており,それに,いがみの権太と狐忠信の挿話が絡む。なお,初演の際,狐忠信の人形に耳の動く仕掛けが考案され,また,その衣装の模様には,四段目の狐場を語った2世竹本政太夫の源氏車の紋が利用されたと伝えられている(《浄瑠璃譜》)。…

※「忠信」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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