念もない(読み)ネンモナイ

デジタル大辞泉 「念もない」の意味・読み・例文・類語

ねんもな・い

考えがあさはかである。もの足りない。
二度ともなれば―・きことぐせどもをぞ僅かにまねぶめる」〈無名抄
残念である。無念である。
「敵に焼き殺されてありと言はれんずるは、―・き事なり」〈義経記・五〉
たやすい。容易である。
「この様な恥をかいた事は無い。―・う出づる事では無い」〈仮・浮世物語・三〉
思いがけない。意外である。
「―・い事、やる事はならぬ」〈虎明狂・樽聟〉
おもしろくない。つまらない。
「柳のえだの夕の気色、―・い絵などは見劣りて」〈浮・男色大鑑・六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「念もない」の意味・読み・例文・類語

ねん【念】 も ない

① 考えがない。思慮がない。念なし。
仮名草子・浮世物語(1665頃)三「中中出でまい。此様な恥を掻いた事は無ひ。ねんもなふ出づる事では無い」
② 考えが足りない。ものたりない。面白くない。
※無名抄(1211頃)「始め珍しくよめる時こそあれ、二度ともなれば念もなきことぐせどもをぞ僅かにまねぶめる」
③ 無念である。残念である。口惜しい。念なし。
※義経記(室町中か)五「敵に焼き殺されてありと言はれんずるは、ねんもなき事なり」
④ 思いもよらない。思いがけない。とんでもない。
※虎明本狂言・樽聟(室町末‐近世初)「念もなひ事やる事はならぬ」
⑤ 容易である。案外だ。念なし。

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