念者(読み)ネンジャ

デジタル大辞泉 「念者」の意味・読み・例文・類語

ねん‐じゃ【念者】

男色関係で、兄分の者。念人
「われも江戸に置いたらば―のある時分ぢゃが」〈浮・五人女・四〉

ねん‐しゃ【念者】

《「ねんじゃ」とも》いろいろ気をくばって物事をする人。念入りな人。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「念者」の意味・読み・例文・類語

ねん‐じゃ【念者】

〘名〙
① 男色の関係で、若衆を寵愛する側の人。衆道の兄分。念人(ねんじん・ねんにん)。念士。
史記抄(1477)六「此人によって念者が人を殺たほどに其様なことにちっと軽忽な事があったと云ぞ」
浮世草子・けいせい伝受紙子(1710)二「あけて見れば軒下に念者(ネンジャ)のひぢ枕」
② 男色のこと。衆道。〔物類称呼(1775)〕

ねん‐しゃ【念者】

〘名〙
① (「ねんじゃ」とも) いろいろと気を配り、ぬかりなく物事をする人。入念な人。
※咄本・日待ばなしこまざらひ(1684‐88)上「だんなそうじてねんじゃなれば、かきものなくてはなり申まじ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の念者の言及

【男色】より

…とくに戦国時代には,尚武の気風からことさらに女性をさげすみ,男色を賛美する傾向が強まった。その中から,男色における兄分(念者(ねんじや),念人(ねんにん))と弟分(少人(しようじん),若衆)との間の倫理的契約(義理,意気)を重んじた衆道(しゆどう),若道(にやくどう)の成立をみるにいたった。こうした男色流行は江戸時代の前期に受けつがれ,士,僧のほか一般庶民の間にもその風がひろまり,若衆歌舞伎の発展はこれを助長するとともに,男色を売る男娼――陰間(かげま)が出現するに及んだ。…

※「念者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android