急便業(読み)きゅうびんぎょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「急便業」の意味・わかりやすい解説

急便業
きゅうびんぎょう

他人の委託を受けてあらゆる物品の購入を行い,かつ購入物品を輸送する業務区域トラックの限定免許と区域トラックの積合許可をもって成立した。自動車輸送以前はいわゆる飛脚業,すなわち郵便物とともに現金,証書貨物を運送することを業としており,1920年代なかばを過ぎて昭和に入った頃は便利屋,飛脚屋と呼ばれていたが,1967年,冒頭に定義される形で中小企業庁から急便業として認可された。原型としてはほかに水屋に端を発するものもある。これが 70年代後半から話題になってきたのは,従来の便利屋的性格と区域トラックの積合許可をフルに発揮し,幹線部分は路線トラックや鉄道,あるいは航空機のうち荷主の要望に応じて有利なものを選択するが,両端輸送は区域積合や運送取扱業の免許を取って自社便で集配し,適当な幹線輸送手段が利用不可能な場合は自社便で直通輸送するなど,荷主の要望に対するきめ細かな配慮とスピード性を売物にしていること,また路線トラックのように運賃などについて厳格な規制がないため収益性が高いことなどによる。その後 90年に物流2法が見直され,路線貨物事業と区域貨物事業が統合され,参入規制許可制に移行した。また 70年代後半から 80年代前半にかけて宅配便が急成長したこともあり,国内のこの種の業務は代替されることになった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android