恁麼(読み)インモ

デジタル大辞泉 「恁麼」の意味・読み・例文・類語

いん‐も【××麼/××麼】

多く「の」を伴って連体詞的に用いて)疑問を表す。どのよう。いかよう。
天地と我と―の交渉かある」〈漱石吾輩は猫である
(「に」を伴い副詞的に用いて)指示を表す。このよう。かくのごとく。
「動著は―にあらざるなり」〈正法眼蔵仏性
[補説]もと中国時代の俗語禅宗とともに伝わり、禅僧の間で用いられた。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「恁麼」の意味・わかりやすい解説

恁麼
いんも

「このような(に)」「そのような(に)」という意味の中国の俗語。いま話題にしている、あるいは顕現している事物の状態をさしていう近称指示語同義語に、異没(いも)、伊麼(いも)、与麼(よも)などがある。また、禅宗では、言語によっては表しえない真実が、そのように顕現していることを示す場合にも用いられる。甚麼(じんも)、什麼(じゅうも)は「なんの」「どんな」などの意の疑問詞で、恁麼とは異なる。

[伊藤秀憲]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android