デジタル大辞泉
「恐」の意味・読み・例文・類語
かしく【▽恐/可=祝/▽畏】
《「かしこ」の音変化》女性の手紙の末尾に用いるあいさつの語。かしこ。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おそろし・い【恐】
〘形口〙 おそろ
し 〘形
シク〙
① 身に危険が感じられて、不気味である、不安である。こわい。おっかない。
※竹取(9C末‐10C初)「これやわが求むる山ならむと思ひて、さすがにおそろしくおぼえて」
② たいしたものだ。えらい。
※栄花(1028‐92頃)月の宴「かく久しく世を保たせ給ひつるもいとおそろし」
③ 驚きあきれることである。ひどい。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「『こっちは雲の
上人だ』『菰
(こも)の餓人
(うえびと)ではござりませんか』『おそろしい』」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初「私(わっち)も一躰、おそろしい我儘ものサ」
[語誌](1)①の「竹取」例などに見られるように
対象に対する主観的な恐怖を表わしたが、
中世以降、対象が客観的に見ても恐怖の対象となる状態であることをも示すようになっている。
(2)中世には、「天草版平家」の「ヨノ キコエモ vosoroxixito
(ヲソロシシト) アッテ」のように、終止形「おそろしし」の形も存在した。
(3)近世以降「恐ろしい」は「程度がはなはだしい」意で
程度副詞のようにも用いられる。これは、「恐ろしい」に「対象の持つ
属性の程度が、
常識をはるかに超えている」という
意味が含まれているために成立した
用法と思われる。
おそろし‐が・る
〘自ラ五(四)〙
おそろし‐げ
〘形動〙
おそろし‐さ
〘名〙
おそろし‐み
〘名〙
おそらく【恐】
※虎寛本狂言・乳切木(室町末‐近世初)「おそらく、何れも大勢成共、まくる
太郎ではおりないぞ」
※虎明本狂言・
竹の子(室町末‐近世初)「『やるまひといふたりと取てみせう』『おそらくとらすまひぞ』」
③ 恐ろしいほど。この上なく。
※
浮世草子・好色産毛(1695頃)三「女人におゐてはおそらくの療治仕候」
おとろし・い【恐】
〘形口〙 おとろ
し 〘形シク〙 (「おそろしい」の変化したもの。
関西地方でいう) おそろしい。また、うんざりする。めんどうくさい。
※浮世草子・
忘花(1696)一「
きくはにわかに身をふるひ、あらおとろしやすさまじや、今より後は其事あらじ、ゆるしてたべと」
おとろし‐げ
〘形動〙
おとろし‐さ
〘名〙
おそろ【恐】
〘形動〙 (
形容詞「おそろし(恐)」から出て、
江戸時代、
安永・
天明(
一七七二‐八九)頃、通人の間に流行した語)
① 驚いたり感心したりして、おそれいるさま。
※浄瑠璃・神霊矢口渡(1770)二「此白紙(しろがみ)認(したた)め置き水にひたせば皆読(よめ)る。コリャおそろだ」
② はなはだしいさま。たいそうなさま。恐ろしいさま。
※談義本・当世穴噺(1771)四「人殺しといわふか医者ほどおそろな物はござらぬ」
おおそれ【恐】
〘名〙 御恐れの意という。また、恐れる気持を強調するため、「おそれ(恐)」を「おおそれ」と発音するのが室町後期には普通であったともいう。→
おおそれおおし・
おおそれながら。
※幸若・夜討曾我(寛永版)(室町末‐近世初)「給はる御こそで、まいらせたくは候へども、さいごにきてしなんため、参らせず候。そのおほそれ、是おほし」
おそり【恐】
〘名〙 (上二段動詞「おそる(恐)」の連用形の名詞化) 恐怖の原因となるべき事柄。警戒すべき事。恐ろしい事の起こりそうな心配。おそれ。恐怖。不安。
※万葉(8C後)四・五一八「春日野の山辺の道を於曾理(オソリ)なく通ひし君が見えぬころかも」
※土左(935頃)承平五年一月二三日「このわたり海賊のおそりありといへば」
おっそろし・い【恐】
〘形口〙 「おそろしい(恐)」の変化した語。
※洒落本・船頭深話(1802)一「とぼし迎ときちゃア、おっそろしくいそがしい」
おそろし【恐】
おとろし【恐】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報