悋気の火の玉(読み)りんきのひのたま

改訂新版 世界大百科事典 「悋気の火の玉」の意味・わかりやすい解説

悋気の火の玉 (りんきのひのたま)

落語。原話は桜川慈悲成(さくらがわじひなり)の笑話本《延命養談数(えんめいようだんす)》(1833)所収の〈火の玉〉。浅草花川戸の鼻緒(はなお)問屋の旦那が,吉原遊女を身請けして囲ったと知り,嫉妬心の強い女房は旦那が帰宅しても愛想が悪く,お茶をいれてくれと言うと,〈あたくしがお茶をいれたんじゃうまくないでしょう,ふん〉と言い,食事にしてくれと言うと,〈あたくしのお給仕じゃうまくないでしょう,ふん〉とすねるばかり。そのうちに藁(わら)人形に5寸釘を打って妾(めかけ)を祈り殺そうとしたので,妾も藁人形に6寸釘を打って女房を祈り殺そうとして,おたがいに祈り合い,ふたりとも死んでしまった。そして死後も,ふたりの人魂(ひとだま)が毎晩ぶつかって喧嘩をするので,旦那が仲裁をする。はじめに妾の人魂が来たので,いろいろ説得し,その火で煙草(たばこ)を吸いつける。つづいて本妻の人魂が飛んで来たので,これにも説得して,煙草の火をつけようとすると,人魂がすーっとそれて,〈あたしのじゃうまくないでしょう,ふん〉。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「悋気の火の玉」の解説

悋気の火の玉

古典落語演目ひとつ。「悋気の人魂」とも。八代目桂文楽が得意とした。オチは仕込みオチ。主な登場人物は、幽霊

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android