精選版 日本国語大辞典 「悴」の意味・読み・例文・類語
かじ・ける【悴】
〘自カ下一〙 かじ・く 〘自カ下二〙 (古くは「かしく」)
(イ) 姿や顔つきがやせ衰える。また、みすぼらしくなる。
※日葡辞書(1603‐04)「Cajiqe, uru, eta(カジクル)〈訳〉悪化する。衰弱する。または、やせて醜くなる。比喩、貧しく、衣類もない人に言う。カジケビト、または、cajiqeta(カジケタ)ヒト〈訳〉貧しい人。貧乏人」
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八「妙園林の〈略〉忽然に皆枯れ悴(カシケ)て」
(ハ) 国や市街などが衰える。
② =かじかむ(悴)②
かじか・む【悴】
〘自マ五(四)〙 (古くは「かしかむ」)
① 生気がなくなって、やせ衰える。また、草木などがしおれる。かじける。
※天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃)「儞は是れ誰が家の小児ぞ。面血色无く、いたく顦顇(カシカミ)たる」
② 手足などが寒さのため、こごえて思うように動かなくなる。かじける。《季・冬》
※雑俳・柳多留‐四(1769)「駕ちんをかじかんだ手へ壱歩とり」
③ 恐れちぢまる。気持がいじける。
※雑俳・たから船(1703)「せつかれて・問屋女かじかむ出立ち飯」
※島へ(1962)〈島尾敏雄〉「気持がかじかみ」
[語誌](1)「かしく」(→かじける)から派生したものと思われ、ともに①の意で用いられた。「日葡辞書」には「かじく」「かしく」の両形が見え、近世以降「かじかむ」「かじく」という濁音形が一般的になったと思われる。
(2)近世後期には、寒さのために生気がなくなる意味をもつ「かじける」の例が多くなり、以後「かじかむ」もこの意味を中心に使われるようになる。
(2)近世後期には、寒さのために生気がなくなる意味をもつ「かじける」の例が多くなり、以後「かじかむ」もこの意味を中心に使われるようになる。
かじけ【悴】
① 生気がなく衰えること。やつれること。また、落ちぶれること。
※俳諧・広原海(1703)七「亡夫の碑石恥し身の惟悴(かじけ)」
② 寒さのためにちぢこまること。寒がること。また、その人。寒がりや。
※雑俳・田みの笠(1700)「かさねたり・かじけが姿は茗荷の子」
すす・く【悴】
〘自カ下二〙 しぼむ。やつれる。年老いたさまになる。白髪まじりになる。
※東大寺諷誦文平安初期点(830頃)「形悴(ススケ)、躰費えて安き色无し」
かじ・く【悴】
〘自カ下二〙 ⇒かじける(悴)
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