情報格差創造型マーケティング(読み)じょうほうかくさそうぞうがたマーケティング

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

情報格差創造型マーケティング
じょうほうかくさそうぞうがたマーケティング

ある製品に関して供給者が顧客との情報格差創造・維持し,取引上優位な立場に立とうとするマーケティング手法。売り手は,その持つ情報の優位性を生かして,買い手に対して優位な地位に立つことができる。画期的な新製品は,最大の情報格差を生み出す源泉である。その製品の正確な用途や機能についてはもちろん,その製品の使用技術についても,買い手のもつ情報は限られている。それらの情報は売り手に独占されているために,買い手は売り手の提供する情報を全面的に受け入れざるをえない。その情報面での依存性の結果,売り手は買い手との取引に対して圧倒的に不利な位置に立つ。メーカーはこのような優位性を経常的に確保するために,絶えざる製品革新を試みる。製品を次々にモデルチェンジするだけでなく,(1) 異種の製品をシステム化する,(2) 異種の機能を複合化する,(3) 多種多様なソフトサービスやアフターサービスを追加する,(4) 新たな使い方提案を試みる,といった工夫により,売り手は買い手に対して情報格差を新たに創造することができる。市場の一層の拡大を目指すリーダー型企業がとりやすいマーケティングであり,市場創造型マーケティングと呼ぶこともできる。

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