愛媛[県](読み)えひめ

百科事典マイペディア 「愛媛[県]」の意味・わかりやすい解説

愛媛[県]【えひめ】

四国地方北西部と,瀬戸内海,豊後(ぶんご)水道に点在する諸島を占める県。県庁所在地は松山市。5676.11km2。143万1493人(2010)。〔沿革〕 かつての伊予国に当たり,江戸時代8藩と天領に分割されていたが,1871年8藩がそのまま県となり,次いで東の天領と4県が松山県,南の4県が宇和島県に統合され,1873年両県が合して愛媛県となった。〔自然〕 中央構造線が四国山地石鎚山脈の北を通り,内帯(北側)と外帯(南側)に分けられる。地理区は東予(道前),中予(道後),南予(宇和)の3地域に大別される。東予は石鎚連峰を背後に,国領川,中山川,蒼社(そうしゃ)川の沖積平野が発達,燧灘(ひうちなだ)沿岸には砂丘干潟(ひがた),古来の干拓地がみられる。中予は燧灘と伊予灘を分ける高縄半島以西で,肱(ひじ)川重信川流域を含み,風早,松山(道後)の2平野がある。南予は大部分が肱川四万十(しまんと)川上流域の山地。宇和海沿岸はリアス海岸である。東予,中予は比較的温暖少雨の瀬戸内式気候で,南予の海岸部は太平洋岸式気候で多雨である。〔産業〕 産業別人口構成は第1次9.4%,第2次25.7%,第3次63.7%(2005)。農業生産の特色は果樹で,全国1位のミカンイヨカンなど柑橘(かんきつ)類をはじめビワ,キウイフルーツ,クリの大産地をなし,山間地ではタバコ栽培や酪農畜産も行われる。漁業は日本一の産量がある真珠,ブリ,タイやノリの養殖など栽培漁業が中心になっている。日本屈指の別子銅山は1973年閉山。工業は東予地方で特に発達,新居浜の重化学工業,伊予三島,川之江の製紙今治(いまばり)のタオル,造船,松前(まさき),中予の松山の化繊工業が重要である。在来の伊予絣(がすり),菊間瓦砥部(とべ)焼も有名。菊間町(現・今治市)には,石油公団(現,石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の地下備蓄基地がつくられた。観光面では瀬戸内海国立公園足摺宇和海国立公園石鎚国定公園道後温泉があり,近年は南予の観光開発も進む。〔交通〕 海岸沿いに通じる予讃線,松山自動車道と国道11号,56号線が幹線。1999年には本州四国連絡橋尾道・今治ルート(しまなみ海道)が全通した。内陸部は内子線,予土線,松山市付近に伊予鉄道が通じる。三津浜(松山市),今治,八幡浜などから中国地方,九州へ定期船便があり,松山市に松山空港がある。
→関連項目四国地方

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