感情教育(読み)カンジョウキョウイク(英語表記)L'éducation sentimentale

デジタル大辞泉 「感情教育」の意味・読み・例文・類語

かんじょうきょういく〔カンジヤウケウイク〕【感情教育】

原題、〈フランスL'Éducation sentimentaleフロベール長編小説。1869年刊。フランスの二月革命前後の混迷した世相背景に、青年フレデリックの失意幻滅人生を描く。

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精選版 日本国語大辞典 「感情教育」の意味・読み・例文・類語

かんじょう‐きょういく カンジャウケウイク【感情教育】

[1] 〘名〙 人間らしい豊かな感情を育てるための教育
※自然といふこと(1965)〈唐木順三〉「日本の古来の教育は〈略〉感情教育においてすぐれてゐた」
[2] (原題L'Éducation sentimentale) 長編小説。フローベール作。一八六九年発表。「ある青年の物語」の副題があり、二月革命前後のフランス社会を背景に、パリに出た青年フレデリック=モローの恋と失意の交錯する人生を描く。

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改訂新版 世界大百科事典 「感情教育」の意味・わかりやすい解説

感情教育 (かんじょうきょういく)
L'éducation sentimentale

フランスの作家フローベールの長編小説。1869年刊。副題は〈ある青年の物語〉。物語の展開する時代は1840年から51年に至る10年余り,これに十数年後の後日譚エピローグとして付くという構成。未来への“夢と希望”を抱いて地方からパリに出た青年フレデリック・モローが,人妻マリー・アルヌーへの恋や何人かの女たちとの交渉を軸とするさまざまな経験を積んだ末に,当初の夢が無惨に潰えさるのをみるまでが描かれる。主人公の私生活情景の描写ばかりではなく,二月革命前後の政治的社会的状況が綿密な資料調査に基づいて精確に描きだされているのが作品の特徴のひとつ。発表当時の世評は芳しくなく,おもに自然主義の作家たちから賞賛された時期はあったものの,以後ながく不当な評価を受けることが多かったが,今日では作者独創の手法や文体などが見直され,傑作のひとつに数えられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「感情教育」の意味・わかりやすい解説

感情教育
かんじょうきょういく
L'Éducation sentimentale

フランスの小説家ギュスターブ・フローベールの小説。 1869年刊。アルヌー夫人を思慕するフレデリック・モローを中心に,二月革命前後の時代のフランスが活写され,社会学者 G.ソレルはその時代を研究する歴史家にとって必見の書と評した。

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