慎莫(読み)しんまく

精選版 日本国語大辞典 「慎莫」の意味・読み・例文・類語

しん‐まく【慎莫】

〘名〙
① (━する) あとしまつをすること。処置をきちんとすること。
※雑俳・柳多留‐三(1768)「小姓よくしんまくをするけさ衣」
洒落本・玉之帳(1789‐1801頃)三「我身で我身のしんまくができかねて」
② (形動) まじめなこと。実直なこと。律気なこと。また、そのさま。
浄瑠璃・難波丸金鶏(1759)天満老松町「節季々々のあてがひも、嘸(さぞ)不自由と思へ共、其顔もせずしんまくに終に仕付けぬ賃為業(ちんしごと)
[語誌]仏典に「慎莫」の字が見られ、訓読は、「つつしんで…なかれ」であるが、そのままシンマクと音読することも多く、仏教が広く庶民に普及するにともない、一般にもこの音読が浸透、一語化し①②の意味で用いられるようになったとされる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「慎莫」の意味・読み・例文・類語

しん‐まく【慎×莫】

[名・形動ナリ]
まじめで控えめなこと。また、そのさま。実直。律義。
「さぞや不自由と思へども、その顔もせず―に、つひに仕つけぬ賃仕事」〈浄・難波丸金鶏〉
始末をきちんとすること。よく身の回りの処置をすること。
うぬが身の―でもするがほんたうだのに」〈人・辰巳園・四〉

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