慶長勅版(読み)けいちょうちょくばん

山川 日本史小辞典 改訂新版 「慶長勅版」の解説

慶長勅版
けいちょうちょくはん

後陽成(ごようぜい)天皇の企画に始まる古活字版。1597年(慶長2)の「勧学文」「錦繍段(きんしゅうだん)」,99年の「日本書紀神代巻」「古文孝経」「大学」「中庸」「論語」「孟子」「職原抄」,1603年の「白氏五妃曲」に及んだ。いずれも木製活字を使用。同じ活字を用いた「長恨歌琵琶行」「陰虚本病」や伝存未詳の「中臣祓(なかとみのはらえ)」も,同期勅版に含める説がある。同天皇には金属活字による「古文孝経」の出版が1593年(文禄2)にあり,これは文禄勅版という。

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旺文社日本史事典 三訂版 「慶長勅版」の解説

慶長勅版
けいちょうちょくばん

慶長年間(1596〜1615),後陽成天皇の命により出版された日本最初の木版活字本
文禄・慶長の役(1592〜98)で朝鮮から伝わった活字印刷技術により,1597〜1603(慶長2〜8)年の間に『古文孝経』『日本書紀』〈神代巻〉,『四書』『職原抄』や医書などを印刷部数は200未満の少部であった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「慶長勅版」の意味・わかりやすい解説

慶長勅版
けいちょうちょくはん

勅版

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世界大百科事典(旧版)内の慶長勅版の言及

【後陽成天皇】より

…学問を好み,舟橋秀賢をして四書を進講させ,また廷臣に《伊勢物語》《源氏物語》などを講義。能書家であり,和歌をよくしたが,文化史上の不朽の業績は勅版の刊行で,《勧学文》《錦繡段》《日本書紀神代巻》《古文孝経》《大学》《職原抄》など広範囲に及び,慶長勅版として近世の文芸復興に大きく貢献した。皇弟智仁親王に譲位の意向があったが,家康の反対でならず,さらに09年の猪熊事件に対する家康の処置が天皇の意にかなわず,しだいに幕府との関係に円滑を欠き,憤慨のあまりついに11年譲位。…

※「慶長勅版」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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