戦後派文学(読み)センゴハブンガク

デジタル大辞泉 「戦後派文学」の意味・読み・例文・類語

せんごは‐ぶんがく【戦後派文学】

第二次大戦後に現れた新しい文学一派雑誌近代文学」を中心に、政治と文学の問題、戦争責任主体性の問題などを提起して創作活動を展開した。主な小説家・評論家野間宏のまひろし椎名麟三しいなりんぞう梅崎春生うめざきはるお中村真一郎大岡昇平武田泰淳埴谷雄高はにやゆたからがいて、実存主義的傾向を共通の特徴とした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「戦後派文学」の意味・わかりやすい解説

戦後派文学
せんごはぶんがく

文芸用語。太平洋戦争終結後の1946年(昭和21)から、朝鮮戦争勃発(ぼっぱつ)の50年ごろまで、すなわち戦後登場した一群の新人たちの文学をさす。既成文学や、戦前のプロレタリア文学運動の流れをくむ民主主義文学と一線を画した同派の理論的支柱になった評論家には、雑誌『近代文学』に拠(よ)る荒正人(まさひと)、平野謙(けん)、本多秋五(しゅうご)、佐々木基一(きいち)、山室静(やまむろしずか)らと、花田清輝(きよてる)、加藤周一らがある。小説家には、『暗い絵』の野間宏(ひろし)、『深夜の酒宴』の椎名麟三(しいなりんぞう)、『桜島』の梅崎春生(はるお)のほか、中村真一郎、武田泰淳(たいじゅん)、埴谷雄高(はにやゆたか)、大岡昇平、福永武彦三島由紀夫(ゆきお)、安部公房(こうぼう)、島尾敏雄(としお)、堀田善衛(ほったよしえ)らがいて、観念性の強い作風と、実存主義的傾向を共通の特徴とした。

大久保典夫

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