手の物(読み)てのもの

精選版 日本国語大辞典 「手の物」の意味・読み・例文・類語

て【手】 の 物(もの)

① 手にはいったもの。自分の所有に帰したもの。また、手にしているもの。
※俳諧・小町踊(1665)夏「涼しさを手の物にする扇かな〈嶺利〉」
② 自分の自由にできる物事。熟練して得意とするわざ。お手のもの。
咄本・軽口御前男(1703)二「そなたは、人の身のうへさへ八卦におき出すほどに、我身のうへの事は手の物と」
技巧をこらした料理。鶉の羽ぶしもり、鴫のつぼいり、蝤蛑(がざみ)こうもり海老の船つみ、鮎のいかだなますなどの類。〔随筆貞丈雑記(1784頃)〕

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デジタル大辞泉 「手の物」の意味・読み・例文・類語

て‐の‐もの【手の物】

手にはいったもの。また、手にしているもの。「名器手の物となる」「手の物を渡す」
自分の自由に扱えるもの。得意とするもの。おてのもの。
我が身の上の事は―と」〈咄・御前男・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の手の物の言及

【手事】より

…この掛合を含む部分を本来の手事(本手事)として,それに続く部分でいったん終結部に近い気分を示すが,しかし,再び掛合も出てくる部分を,中チラシといい,その後の本当の終結部を本チラシまたは後(のち∥あと)チラシといった。こうした構造の,手事に比重のあるものを手事物,手の物などといい,とくに化政期(1804‐30)以後の京都における作曲で盛んになった。京流手事物,京風手事物などともいう。…

※「手の物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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