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…その作詞には,文人,俳人,通人たちの関与したものも多く,享保期(1716‐36)には柳沢淇園,天明期では二斗庵下物,流石庵羽積などが知られる。 三味線の器楽曲は,すでに貞享(1684‐88)以前から存在しており,《すががき》《りんぜつ》《ししおどり》《れんぼ》《きぬた》などの楽曲があったが,のちにはその前後に歌が添えられるようになり,寛政(1789‐1801)ころには,《さらし》などのように,間奏部の器楽性の高いものとともに,〈手事物(てごともの)〉として分類されるようになり,大坂では峰崎勾当,三つ橋勾当らがその新作を盛んに行った。同時に,三味線2部の合奏形式も生まれ,〈段合せ〉〈本手と地〉〈本手と替手〉などのさまざまな合奏が行われるようになった。…
…この掛合を含む部分を本来の手事(本手事)として,それに続く部分でいったん終結部に近い気分を示すが,しかし,再び掛合も出てくる部分を,中チラシといい,その後の本当の終結部を本チラシまたは後(のち∥あと)チラシといった。こうした構造の,手事に比重のあるものを手事物,手の物などといい,とくに化政期(1804‐30)以後の京都における作曲で盛んになった。京流手事物,京風手事物などともいう。…
※「手事物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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