手甲(読み)テコウ

デジタル大辞泉 「手甲」の意味・読み・例文・類語

て‐こう〔‐カフ〕【手甲】

てっこう(手甲)」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「手甲」の意味・読み・例文・類語

てっ‐こう ‥カフ【手甲】

〘名〙
手の甲(こう)。手の表面。てこう。
② 手の甲をおおい保護するもの。武具としては多く皮で作られ、労働用、旅行用は多く紺の布で作られる。てこう。籠手(こて)
浄瑠璃伽羅先代萩(1785)道行「てっかう股引りりしげに」
夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第二部「そのいづれもが日焼けを厭ふらしい白の手甲をはめ」

て‐こう ‥カフ【手甲】

〘名〙
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下「私は家へは還らぬと力む、樫村は手甲(テカフ)(す)って扱ったれど」
※玄武朱雀(1898)〈泉鏡花〉五「手甲(テカフ)かけた大きな掌で其腕を押へ」

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改訂新版 世界大百科事典 「手甲」の意味・わかりやすい解説

手甲 (てっこう)

手首から手の甲部分を保護する布で,〈ておい〉〈てこう〉〈てさし〉〈こて〉などともいう。もっぱら屋外の労働に際して用い,現在でも農村で用いられている。江戸時代には行商や旅行の際にも用いられた。平形と筒形があり,甲の部分は三角形または半円形につくられ,これを〈やま〉とか〈さめ〉という。〈やま〉の先端にじょうぶな糸で輪をつくり,中指を通して手の甲に固定し,手首を巻き紐かこはぜでとめて用いる。材料は紺木綿が多いが,縞や絣柄また旅行用の甲斐絹かいき),狩猟用の毛皮製もある。東北地方では甲の部分に白糸や色糸で花を縫いとりし,また,ぐし縫いで菱形に刺し,千鳥かがりをほどこすなど美しいものが多い。
籠手(こて)
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「手甲」の意味・わかりやすい解説

手甲
てっこう

手の甲、手首を覆うもので、てこう、てさし、てっか、こてなどともよばれる。屋外の労働のとき、外傷、日差し、寒気を避けるために使われ、旅行、行商にも用いられた。現在も農作業に使用される。形態は平型と筒型とがあり、平型は甲の部分が「やま」といわれる三角形か半円形となっており、その先についている紐(ひも)に中指を通して手首に巻き、紐かこはぜで留める。筒型には親指を通す部分がついている。材料は紺木綿が多いが、縞(しま)、絣(かすり)も用いられ、東北地方では白糸や色糸で刺した美しいものがつくられた。またぎなど狩人(かりゅうど)は、カモシカ、キツネ、ウサギなどの毛皮製を用いていた。

[岡野和子]

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百科事典マイペディア 「手甲」の意味・わかりやすい解説

手甲【てっこう】

腕から手の甲までをおおう布。古来旅装や労働着の一部として用いられてきた。ふつう厚手木綿で袷(あわせ)仕立とし,甲部は三角形や半円形にし,手首の紐(ひも)か鞐(こはぜ)で着装する。

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