うち‐しき【打敷】
〘名〙
① 家具などを置くときに装飾用に敷く
布帛(ふはく)の
敷物。
※宇津保(970‐999頃)吹上上「君だち四所、国の守までに、紫檀の
折敷(をしき)二十
(はたち)、紫檀の
轆轤挽(ろくろびき)の坏
(つき)ども、敷物、
うちしき、
御供の人の前ごとにたてわたし」
②
仏前、仏座を荘厳にするため、仏前の
卓上を覆う布。金襴
(きんらん)、
緞子(どんす)の類を用いる。この上に、
供物(くもつ)、
仏具などを載せる。〔
庭訓往来(1394‐1428頃)〕
③ 香をたくために
香炉の中に置く
水晶、銀製などの薄板(
日葡辞書(1603‐04))。
うち‐し・く【打敷】
〘他カ四〙 (「うち」は
接頭語) その上に寝たりすわったりするために、物を平らにのべひろげる。敷く。
※宇津保(970‐999頃)内侍督「しとねうちしきてゐ給て」
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デジタル大辞泉
「打敷」の意味・読み・例文・類語
うち‐しき【打(ち)敷(き)】
1 菓子などを器に盛るときに敷く白紙。
2 調度などの下に敷く布。
「さし油するに、灯台の―を踏みて立てるに」〈枕・一〇八〉
3 仏具などの敷物。
「金入りの鳳凰の小袖は―、花車の縫ひの袷は天蓋、幡にして」〈浮・織留・一〉
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打敷
仏壇、仏具などの敷物。金欄を用いているものが多い。
出典 葬儀ベストネット葬儀辞典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の打敷の言及
【香道具】より
…(1)十種香箱 二重の箱で華麗な蒔絵が多い。上段には惣包(そうづつみ)や打敷(うちしき),源氏香之図や香割道具等,下段には聞香炉,(銀)葉盤(ぎんようばん),重香合(じゆうこうごう),香筯建(きようじたて),香札,札筒,折据(おりすえ),火末入(ひずえいれ),葉入などを納める。縦7寸5分,横6寸4分,高さ6寸7分(1寸は約3cm)。…
【刺繡】より
… 繡の流れは時代が下るにつれ,さらに緻密よりも磊落(らいらく)・平明に向かう。明代の繡技は,京都や地方の寺院に伝わる打敷(うちしき)に見られる。打敷は僧の座す高座や仏壇などの敷物であるが,日本では金襴など舶載の裂(きれ)が用いられ,明繡によるものは主として草花・鳥獣を主題に構成され,平糸を豊かに引き延べた大胆なものである。…
※「打敷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」