うち‐こ【打粉】
〘名〙
① 刀を
手入れする時に使う
砥粉(とのこ)。
湿気や汚れなどをぬぐい取るために、布に丸く包んで刀身を軽くたたくようにして使う。
※ぢいさんばあさん(1915)〈
森鴎外〉「
刀剣に打粉
(ウチコ)を打って拭
(ふ)く」
③
三味線の棹
(さお)のすべりをとめるためにつける粉。
※雑俳・歌羅衣(1834‐44)八「しっとり弾く子打粉手に撥の冱へ」
④ そば、
うどんなどをのばすときに、べたつかないようにふる粉。
※雑俳・柳多留‐七四(1822)「打粉ほど庵の明地に
蕎麦の花」
⑤ おしろい。また、化粧すること。
※教部省達第二六号‐明治六年(1873)七月五日「神仏祭礼開扉等之節〈略〉従来之弊風に泥み奇怪之打粉或は男女姿粧を易へ候等之儀有レ之」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「打粉」の意味・読み・例文・類語
うち‐こ【打(ち)粉】
1 刀剣の手入れに用いる砥粉。
2 汗取りのために皮膚につける粉。汗取りの粉。天花粉の類。
3 そば・うどん・餅などを伸ばすときに、粘り付かないように振りまく粉。でんぷん・小麦粉などを用いる。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内の打粉の言及
【タルカム・パウダー】より
…そのほか,防臭剤入りのデオドラント・パウダー,殺菌剤入りのフット・パウダー,乳幼児のあせも・ただれ予防に用いるベビー・パウダー(シッカロールは1916年に出された和光堂の商品名),アフターシェービング・パウダーがあるが,これらも基剤はタルカム・パウダーとほとんど変わらない。なお,カラスウリの粉を主とした天瓜(花)粉(てんかふん)や打粉(うちこ)も同種の化粧品で,いずれも江戸時代から使われていた。【高橋 雅夫】。…
※「打粉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」